日本共産党

2002年7月19日(金)「しんぶん赤旗」

主張

「コメ政策」

自給と安定供給こそ大事だ


 満々と水をたたえた水田に、すくすくと育つ稲。日本を代表する農村風景です。

 しかし、いま日本の米作農家は、価格の暴落や40%にも及ぶ減反に直面しています。生産意欲の減退や水田の荒廃も広がっています。輸入を続けながら減反を拡大する、政府の政策に怒りが広がっています。

 農水省の研究会がこのほど、コメ政策の見直しの方向(中間取りまとめ)を発表しました。ところが、その中身は、コメの生産と流通をいっそう市場まかせにすることを求めるものです。日本農業の主柱であるコメの自給を、一段と危うくする方向です。

国の責任大きく後退

 だいたい、今日のコメをめぐる困難は、政府がWTO農業協定を受け入れてコメを輸入し、米価の下支え政策の廃止と規制緩和によって量販店などの買いたたきを野放しにしてきたことで、拍車がかかったのではありませんか。報告が、国のはたすべき責任を大きく後退させようというのは本末転倒です。

 研究会は多くの意見を聞いたといいますが、北海道の生産量を上回る年間七十七万トンもの輸入米の影響は心理的なものと否定し、米価政策の廃止と価格暴落の関係にもふれていません。安全な国産米の安定供給の前提である米作農家の経営の安定も課題にしていません。

 中間取りまとめが力を入れたのは、生産者が業務用、加工用など、実需者のニーズ(要望)に応えていない、生産調整(減反)にたいして、農家が自分たちのためにやるんだという認識がないなど、もっぱら生産者の責任についてです。生産調整(減反)について、参加は農家の経営判断としましたが、つくったときには米価の暴落を受け入れることが前提です。

 そこにつらぬかれているのは、コメはもう「一般商品化」しているから、生産者である農家が市場のニーズに応えるべきだとの発想です。コメの需給や価格の安定に国が責任をはたす考えはまったくありません。

 年一回しか取れないコメを年間通じて供給するためにとられている計画流通制度の廃止や、農協が農家から委託を受けて年間通じてコメを販売している制度の「改革」を、求めているのもそのためです。

 はたしてそれでいいか。コメづくりは、農地や気象条件によって大きく制約されます。国民の主食の安定供給は、すべて市場まかせでいいはずはありません。

 中間取りまとめが必要最小限の水田以外は畑化することと、「農地を農地として利用する農地法の見直」しなどを求めていることも重大です。いっそうのコメつぶし、農地つぶしを求めるもので、日本の農業を取り返しのつかないところに追いやることが懸念されます。

 日本共産党は、コメの自給を維持し、需給と価格の安定に国が責任を持ち、合わせて農家の工夫や努力が生かせる政策にするようもとめてきました。生産者価格の下支え政策の確立、輸入米の中止・削減、ゆとりある需給計画と備蓄制度の拡充、転作条件の整備などです。

食と農を守る政策を

 コメの生産を守りながら国内生産の多面的発展を保障することがいまこそ重要です。

 中間取りまとめが求める市場まかせの方向に、国民の食と農をゆだねるのではなく、安全な国産米の供給を保障し、食料自給率を向上させる食料・農業政策を要求する声を、いっそう大きく広げましょう。

 


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