2002年7月12日(金)「しんぶん赤旗」
日本共産党の小池晃議員が十一日の参院厚生労働委員会でとりあげた宮路和明厚労副大臣の帝京大不正入学あっせん疑惑にかんする質問の詳報を紹介します。
小池晃議員 宮路副大臣は昨日の参院予算委員会で、帝京大学の入試をめぐる寄付金疑惑について答弁されたが、もう一回お答えいただきたい。
宮路和明副大臣 大学の医学部、医科大学はわが国の医療を担う医師の基本的に必要とする技術、知識を習得させ、また医師として必要な人格をかん養する場であって、その学生の選抜あるいは育成に関連して不正があってはならない、と考えております。
小池 問題は、副大臣の行動の中でそれがどうだったのかということです。副大臣は今年になってから、ある受験生の親から帝京大学医学部の入試をめぐって依頼を受けたことはありませんか。
宮路 私どもは日ごろ、就職相談、受験相談、結婚相談、もろもろの相談を受けるわけですが、受験についても私どもの後援会の方からいろんな相談を受けていることは事実です。
帝京大学と私との関係につきましては、二十年ぐらい前から私は帝京大の冲永荘一先生とは大学の先輩後輩ということを通じて、政治の世界を志す以前から、よく存じておるわけです。
そこでご質問ですが、御党の機関紙である赤旗記者の二人が私の事務所においでになって(示した)メモをうちの秘書が見ました。
私の地元の後援会の会長であった人のお孫さんですが、その親御さんから私の方に連絡があった。その受験生は三回目の帝京大学受験で、前からかかわりは持っていたが、うちの事務所にその旨の依頼があって電話があった。それをメモに書いた。赤旗記者がそのことをただしたので、秘書として連絡を取り合ったことはあるとは申し上げました。
副大臣になってもっと身を清めなければいけないときに、事務所としてそういうことを昔と同じようにやったのはちょっとまずかったかなとは思うが(場内どよめく)、いずれにしても裏口入学ということにはいっさい関知していない。
小池 笑いながら話しているような話じゃない。ずっと前の話だなんてごまかしますけど今年の一月末です。あなたすでに厚生労働副大臣ですよ。しかもあなたは二人いるうちの、厚生担当の副大臣でしょう。いまこの重大法案を提出しているその責任者のトップの一人ですよ。
こういう経過です。
ある医療法人の院長夫人が宮路事務所に電話をかけてきた。そして、この方は自分の息子さんが(二月)四日、五日に帝京大学医学部を受験するということを話している。宮路議員にこう伝えているんですよ。「息子の帝京大学入学試験が近づいて参りましたが、ご挨拶に伺った方がよろしいでしょうか。先生も大へんおいそがしいことと存じますので、ご指示通りに致します」
そしてあなたは(帝京大の)冲永総長に話をつないだ。そうしたら総長側から「受験番号を至急御連絡ください」と要請があった(オーッと議場がどよめく、「問題だ」の声)。そして宮路事務所は理事長夫人に照会の上、一月三十一日に、受験番号を冲永総長に通知をした。
宮路 私が直接電話をしたのではなく秘書が、メモを残していますからそういうことがあったということがいなめないことであろうと思います。これはもう三回目であります(議場爆笑、「常習犯じゃないか」の声)。その前もやっておったわけですが(騒然)、それが裏口入学とうんぬんされることではないと思っております。
小池 これは重大ですよ。三回目だからいいんですか。交通事故をおこしたけど、これは三回目だからいいんだというのと同じではないですか。こんなひどい話ないですよ。
私ども日本共産党の「しんぶん赤旗」の記者が、宮路事務所にいって対応された政策秘書、北山さんがこういってるんですね。「帝京大学の話は、副大臣にしか分からない話だ」と。「私ども事務所は関係ない、私は報告をしてるだけだ」と、こういってるんですよ。
冲永総長に電話をされたのは、副大臣あなたですね。
宮路 そこは、私はよく覚えておりません。正直いって。(騒然)
小池 まったく答えていません。あなた、たいへんよく覚えてらっしゃるじゃないですか(笑い)、経過を。一回目は落ちて、二回目も落ちて、三回目は合格したと。
宮路 こういうことぐらいは、よく承知をしております。電話を自分がしたかどうか、私のメモじゃないわけですから、私はその電話はしてないということであります。
小池 秘書がいったなんてことは、一言もこのメモには書いてませんよ。名前はふせますけど、○○院長夫人よりと、いうことが書いてあります。これは、電話を受けた北山政策秘書が書いたそうです。ご本人に確認をいたしました。
その横に「了」というサインがある。これは宮路副大臣のサインだと聞いております。ですから、このことをあなたは了解をしたわけです。そして対応を指示したのですね。その結果が下にあるんです。
「一月三十一日木曜日午後十二時三十分 帝京大学冲永総長、○○くんの受験番号を至急ご連絡下さい。○○様にナンバー照会のうえ回答済 北山」と書いてある。そこにまたあなたも「了」というサインを書いている(「全部指示しているじゃないか」の声)。全部あなたが指示をして、それで秘書は報告しているだけなんですよ。電話の受け答えをやってるだけなんですよ。
宮路 繰り返しになりますが、そのメモは秘書が書いたメモでありまして、それを見たということを「了」と書いたのであります。(議場笑い)
小池 基本的に全部お認めになってるんですね。もう一つ確認したいんですが、あなたはこの医療法人から政治献金を受け取っていますね。あなたの資金管理団体である宮路和明後援会「明翔会」、あなたが支部長の自民党鹿児島県第三選挙区支部にこの医療法人から、一九九六年から二〇〇〇年に百数十万円が献金されている。これは間違いありませんね。
宮路 具体的な数は覚えておりませんけれども、だいぶ以前から物心両面にわたるいろんなお支えをいただいたことは事実であります。
小池 毎年毎年お金をもらっている。そして三年前から入試の依頼を受けて、毎年ちゃんと口利いてたんじゃないですか。そして、三年目はみごとに合格したんだということでしょ。そこには、全部あなたが関与したんだということですよ。
宮路 私と冲永先生の関係が根っこにあって、そこから私の事務所も関係を持っておると、こういうことであります。したがってもとが私にあることは当然ですけれども、そのときは秘書が向こうの事務所と連絡をとりあっているということであります。
小池 まさに不正入試、帝京大学の不正入試にあなたは関与したんですよ。口利きしたってことじゃないですか。これはいいのがれは許されませんよ。はっきり答えていただきたい。
宮路 どういうのを不正入試というのかわかりませんが(議場笑い)、裏口入試、不正入試、そういうものは私はあったとは思っておりません。(騒然)
小池 それがまさに不正入試じゃないですか。受験番号を試験の前に教えた。これは不正入試以外の何物でもないですよ。だって受験日は二月四日、五日なんですよ。帝京大学の冲永総長から返事があった日は一月三十一日なんです。
入試の前に受験番号を宮路事務所から帝京大学に言ったわけですから。この受験生に特別の取り計らいをしていただきたいということ以外の何物でもない。これが不正入試じゃなかったら、いったい不正入試って何なんですか。
宮路 通常も就職試験や入学試験についても国会議員にはいろんな方がいろんなことを言ってまいります。そういうことを事前に受験番号を教えてください、じゃあ連絡しましょうというようなことでやっていることは、まあ、しょっちゅう(という)わけでもないわけでもありますが(騒然)、こういうのは往々にしてあるということでありまして、往々にして、就職試験についても……。別段そのことをとやかく言うようなことはないと思います。
小池 そんなことは普通のことはしょっちゅうやっているというようなことでね、私、これ以上審議できません。(「そうだ」「犯罪だ」の声)
(審議中断、再開後、宮路副大臣が再答弁し、散会)