2002年6月30日(日)「しんぶん赤旗」
日本共産党の木島日出夫議員は、二十八日の衆院法務委員会で、重大な犯罪行為をおこなった心神喪失者について裁判官と医師の合議で決する審判制度を新設し、医療観察の処遇を決定しようとすることなどを盛りこんだ触法心神喪失者医療・観察法案について質問しました。
法に触れる行為をしたが不起訴・無罪となった心神喪失者に対しては、現在は精神保健法の「措置入院」制度で処遇しています。
木島氏は、新制度が、手厚い医療と精神医療全体の引き上げにもなるか、ただ障害者を病院に閉じ込めておくだけの「保安処分」にすぎないかの決定的な分かれ目は、「社会復帰支援のための十分な予算と人的体制を整備できるかどうかにかかっている」と指摘。
新たな制度の導入とともに、「遅れている精神医療、保健・福祉全体を抜本的に拡充することが不可欠だ」と強調しました。そのうえで、現行の「措置入院」制度の問題点についての政府の認識をただしました。
坂口力厚労相は、都道府県ごとに運用にばらつきがあり、入院の体制も退院後のフォローも不十分であること、長期入院者が多いことなど問題が多いと認めました。
木島氏は、一九七四年の刑法改正草案の「保安処分」と今回の法案との違いについてただしました。
法務省の古田佑紀刑事局長は「保安処分は刑事裁判の一種であり、刑事手続きの一環としてなされ、収容施設も法務省の管轄であるのに対し、今度の措置は、刑事手続き終了後の処遇を医療の観点から別の裁判所がおこない、厚生労働大臣の指定病院に入院させるものでまったく性質が異なる」と答えました。