2002年6月28日(金)「しんぶん赤旗」
JR西日本が一カ月単位の変形労働時間制を悪用し、勤務時間を特定したあとの勤務変更による超過勤務の残業代を支払わなかった問題で、広島高裁(高升五十雄裁判長)は二十五日、JR西日本側の控訴を棄却し、割増賃金の支払いを命じる判決を出しました。
未払い残業代の支払いを求めていたのは、JR西日本労働者で、建交労(全日本建設交運一般労働組合)広島鉄道地方本部組合員である福田忠邦さんと菅正毅さんの二人。一九九七年五月の未払い残業代それぞれ六千円超を支払うよう会社に命じました。
二〇〇一年五月に広島地裁は労働者勝訴、会社側に割増し賃金の支払いを命じる判決を出していましたが、会社側が控訴してました。
JR西日本をはじめJR各社が採用する一カ月単位の変形労働時間制は、労基法によって「一カ月の労働時間が平均して週四十時間を超えなければ、一日の労働時間をどのように設定してもよい」というもの。事前にそれぞれの日の始業・終業時刻を特定しておかなくてはなりません。
ところがJR西日本では、毎月二十五日に翌月の勤務を特定していながら、勤務日の前日や前々日に上司が勤務時間の変更を命じるということがまかりとおり、当初の勤務時間を超えた分についての割増し賃金(残業代)を支払わず、労働基準監督署の是正勧告にも従っていませんでした。
建交労広島県本部、建交労西日本鉄道本部、建交労広島鉄道地方本部は声明をだし、一カ月単位の変形労働時間制を採用している企業が30%を超えていることにふれ、変形労働をおこなうことによる肉体的・精神的苦痛、生活の不規則性に苦しむ労働者を励ますものと評価しています。