日本共産党

2002年6月25日(火)「しんぶん赤旗」

防衛庁リスト問題 木島議員追及

責任逃れ、居直りの首相、長官

こんなことで「一件落着」させられない


写真

質問する木島日出夫議員(左側)。大臣席左から中谷防衛庁長官、福田官房長官、小泉首相=24日、衆院有事法制特別委員会

 防衛庁の情報公開請求者の身元調査リスト作成問題で集中審議がおこなわれた二十四日の衆院有事法制特別委員会。小泉純一郎首相や中谷元・防衛庁長官は、調査報告書の隠ぺい、改ざん問題で開き直りや責任逃れに終始しました。情報公開請求者の身元・思想調査の問題も「そんな事実はない」と居直り。こんなことで「一件落着というわけにはいかない」(日本共産党の木島日出夫衆院議員)のは当然です。

報告書隠ぺい、改ざん

「国会にウソついていない」と

 防衛庁は、三十八ページにのぼる「調査報告書」を作成しておきながら、当初は国会と国民に隠ぺいしようとしました。

 十一日夕方の衆院有事法制特別委員会理事会で、四ページにすぎない「調査報告書の概要」を「調査報告」だと説明し、三十八ページにおよぶ「報告書」本体については存在そのものを否定。「調査報告」の内容も、「概要」にはあった「(リスト作成の)証拠隠しを行ったと言われてもやむを得ない」という記述を削除するなどの改ざんを行っていました。

 木島議員 国会にウソをついたという事実は消せない。これは、国会の国政調査権に対する許しがたい冒とくであり、国会と政府との正常な関係を壊したものとして重大だ。総理は先ほど(の他党議員に対する答弁で)「無用の混乱をきたして残念」といったが、その程度の認識なのか。

 小泉純一郎首相 いまの共産党の言い分に対して必ずしも防衛庁側がそういう認識かどうか、防衛庁長官に答弁させたい。

 中谷元・防衛庁長官 (十一日の有事法制特別委理事会)当時の防衛庁の決定は「調査報告」で(説明するということで)、国会にウソをついたということはない。

 小泉首相と中谷長官は、木島議員の追及にたいし、どこからみても明白な国会にたいするウソを、「ウソをついたことはない」と平然と居直ったのです。

 中谷長官は、与党からの圧力についても釈明。与党三党の幹事長・国対委員長から「『調査報告書』はバックデータ(背景資料)にすることも考えられる」などの「指摘」を受けて、「『調査報告書の概要』を若干修正した『調査報告』を作成した」とのべ、与党の圧力を事実上認めました。

 また、「仮に要求があったら本体の報告書は出すつもりだったが、要求がない場合は出す必要がない」とし、野党やマスコミの要求がなければ、「調査報告書」を隠ぺいしたままにしようとした意図まで明らかになりました。

 この日、中谷長官は、防衛庁が当初は「調査報告書」で説明する予定だったことも明らかにしました。それを、与党三党幹事長らの圧力を受け、隠ぺい、改ざんしたのであり、「ウソをついていない」などという言い逃れは通用しません。

組織ぐるみ身元、思想調査

三佐は“調査畑”の人物 渡した相手も調査部門

 身元・思想調査そのものの問題も深刻です。

 木島議員の追及で、この身元・思想調査が、自衛隊の調査部門ぐるみでおこなわれたという重大な疑惑が改めて浮かび上がりました。違法とされた個人情報リスト作成者である海上自衛隊の情報公開担当者(三佐)も“調査畑”の出身(別項)、陸・海・空・内局の各情報公開室にも調査部門出身の担当者が配置されていたのです。(別表)

 自衛隊の調査部門の基本任務は「部隊の保全のために必要な資料、情報の収集、整理、配布に関すること」(中谷長官)。つまり、防衛庁の情報に近づく者を「逆調査すること」(木島議員)です。

 こうした人物を情報公開担当に配置すること自体、防衛庁が国民をいかに敵視しているかの証明です。

 しかも、海上自衛隊三佐がリストを渡した側にも、海上幕僚監部調査部調査課情報保全室の二佐と海上自衛隊中央調査隊の三尉という調査部門の人物がいたことが調査報告書で明らかになっています。

 航空幕僚監部情報公開室の二人の三佐が東京地方調査隊三尉にリストを渡していたケースでも、二人の三佐は「情報関係の勤務経験を有する」(調査報告書)人物で、事情は同じです。

 リストの作成も受け取ったのも、国民を調査対象とする調査部門かその経歴を持つ人物だったのです。

 木島議員は「自衛隊の情報を得ようと当然の権利を行使しようとした市民を監視、敵視し、マークするため、調査部門ぐるみでおこなわれたのではないのか」と追及。

 中谷長官は「(リストを受け取った)部局では、リストなるものを業務上使用していないと確認している」とのべ、「調査したかどうか」を「使ったかどうか」にすりかえた弁明に終始しました。

 木島議員は、情報公開制度を利用した調査部門ぐるみによる市民監視という「核心部分についてはまったくまともな調査がおこなわれていない」と指摘、徹底解明を求めました。


海上自衛隊三佐の経歴

 1977年 海上自衛隊入隊。潜水艦勤務を経て、海上幕僚監部調査部調査第2課(ロシア担当)、同調査課

 1998年 横須賀地方総監部防衛部第2幕僚室長

 2000年 海上幕僚監部で、海幕情報公開室開設の準備室員として従事

 2001年 同情報公開室の室員

 2002年 岩国調査分遣隊隊長に転出

 (中谷元・防衛庁長官の答弁などから作成)

防衛庁・自衛隊の
各情報公開室の人員内訳

(2002年6月現在)
各情報公開室人員調査部門
の経歴の
ある人員
陸上幕僚監部9人2人
海上幕僚監部9人2人
航空幕僚監部10人2人
内部部局6人1人
防衛施設庁5人0人

 


もどる

機能しない場合は、ブラウザの「戻る」ボタンを利用してください。


著作権 : 日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 Mail:info@jcp.or.jp