2002年6月25日(火)「しんぶん赤旗」
医療改悪法案の審議に入った二十四日の参院本会議。小泉首相は、医療保険財政が「厳しい」ことを理由にして「負担を分かちあっていただく」と三割負担、保険料引き上げを強行しようとしています。日本共産党の小池晃議員が、このごまかしをただしました。
小池議員 景気の悪化こそ健保財政悪化の最大の原因だ。
小泉首相 高齢化の進展等により医療費が増加する一方、経済の低迷にともない保険料収入が伸び悩んでいることから近年、大幅な赤字が生じている。
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中小企業の労使が加入する政府管掌健康保険の加入者一人あたりの医療費そのものは九七年から減少しています。本来なら財政負担が軽くなるはずなのに、反対に悪化しているのはなぜか。
小池議員は、リストラと賃下げが広がるなかで「加入者数と、保険料算定の基礎となる標準報酬月額(月給)が減り、その結果保険料収入が九八年から連続して減少しているからだ」と財政悪化の実態を指摘したのです。大企業の労働者などが加入する組合健康保険も同様の状態にあると示しました。
そのうえ改悪案を強行して保険料や患者負担を引き上げれば、どうなるのか。九七年の医療改悪のときも景気に悪影響を与えました。負担の引き上げは「個人消費を冷えこませ、失業と倒産の連鎖を生み、健保財政をさらに悪化させるだけではないか」と迫る小池議員。小泉首相は景気悪化が赤字財政の最大の原因であることは否定できませんでした。「短期的には痛みをともなうが将来的には経済面を含め国民全体にとってプラスになる」「今年度末には(政管健保の)積立金が底をつく。改革は待ったなし」とのべるだけです。将来的には「プラス」といっても根拠は不明。リストラ推進の小泉内閣では健保財政赤字の原因であっても打つ手がなく、当座しのぎの負担増を国民に求めていることが浮かび上がりました。
小池 政府は九二年に政管健保への国庫負担率を、法の本則にある16・4%から13%に引き下げた。そのつけを保険料と窓口負担の引き上げで国民にまわすなど許されない。
小泉 これまでの医療保険の円滑な運営をはかるために必要な額を確保してきている。
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小池議員は、保険財政を破たんさせたもう一つの原因として国庫負担の削減を取り上げました。とくに政府が直接運営している政管健保はその典型です。健保法の本則に従えば労働者に給付した医療費の16・4%を国で負担しなければなりません。
ところが九二年、当時の政管健保財政の大幅黒字に目をつけた政府が13%に引き下げたのです。政府は財政が悪化したら元に戻すことを検討すると約束したのに放置しました。
小池議員は、これまでの十一年間に削減された国庫負担額の累計は一兆六千億円との試算を示したうえで、「政管健保を危機に追い込んだ最大の責任は政府にある」と追及しました。
小泉首相は国庫負担削減の経過には一言も触れられず、「円滑な運営を図るため必要な額を確保している」と強弁。一方で、危機的状況を強調し、「保険料引き上げや三割負担導入など、収支両面の見直しで(政管健保)財政の安定化をはかることが政府の責任」と居直る始末でした。国庫負担削減で破たんに追い込んでどこが「円滑な運営」なのか、支離滅裂の答弁は国民に通用しません。