2002年6月24日(月)「しんぶん赤旗」
国民いじめ、平和と民主主義破壊、腐敗まみれの自民党政治。そのもっとも熱心な推進者に――国民にとって危険で有害きわまりない公明党の役割が、こんどの通常国会ほどきわだったことはありません。政権にしがみつくためなら、何でもありの公明党の姿を改めてみておきます。
負担増反対から、負担増推進へ百八十度の転換――サラリーマン本人の医療費窓口負担を三割に引き上げるなど、年間一兆五千億円もの負担増を押しつける医療改悪法案の衆院通過が強行されました。この医療改悪の強行は、公明党のたび重なる国民への裏切りを抜きに、語ることはできません。
九七年、サラリーマン本人の負担が一割から二割に強行されたとき、公明党(当時=公明)は「健保改悪に断固反対」「国民への負担押し付け許さぬ」と批判。
浜四津敏子参院議員(現代表代行)は二度も労組の改悪反対集会に出席。「国民の負担増のみを求める政府の医療保険制度改革案に断固反対する」(公明新聞九七年四月十日付)と力説しました。
国会でも、現厚生労働相である坂口力衆院議員(当時=新進党)が「いよいよお金が足らないという事態になって、慌てて患者、国民に負担をしてくださいというような制度のあり方ではいけない」(九七年五月七日)などとのべていました。
同年九月に、二割負担が実施。翌九八年の参院選で、公明党は「医療費の新たな患者負担増に反対します」との重点政策をかかげました。
当時の政府案は、橋本政権下で小泉純一郎厚相(現首相)がまとめたものがその代表で、そこでは三割負担が打ち出されていました。これに対して公明党は、「患者負担増に断固反対」と公約、全国で支持を訴えてまわりました。
重点政策は、「橋本政権は、これにとどまらず、今後さらに医療保険制度や年金制度を改定して国民の負担を増やす計画をめじろ押しに進めようとしています」と指摘、政府・自民党のいっそうの負担増を批判していました。
公明党は昨年の参院選では、与党の一員として選挙をたたかいながら、開業医の団体である全国保険医団体連合会のアンケートに対し、「健保本人の三割負担」にはっきり「反対」と回答していました。
ところが、こうした国民への公約を裏切って、国会に提出されたのが、サラリーマン本人の三割負担導入などを盛り込んだ健保法改悪案です。
公明党は、「3割への引き上げ時期を先送りすればするほど、保険料率の引き上げは過重にならざるを得ません」(冬柴鉄三幹事長、公明新聞二月十四日付)という理屈で、法案に賛成するだけでなく、一刻も早い実施を求める立場に転じました。
国会の審議でも、「あのとき負担増反対を言っていた。今度はどんどん増やしますと百八十度違う。これは認めるか」と日本共産党の佐々木憲昭議員が追及すると、公明党の坂口厚生労働相は「大きな方向性はまったく変わっていない」などと居直りました。
しかも、国民や野党の反対で法案審議が難航し、会期末が迫ってくると、「(健保法改悪案が)成立しなければ、影響は大きい。審議時間は既に35時間を超えた。成立を急ぐべきである」(公明新聞六月七日付)と主張し、与党単独の強行採決の先導役さえ果たしたのです。
そのうえ公明党は、十三日の地方公聴会で、「十分に審議を」と求めた公述人の注文に「国会の審議に存分に参考にする」(江田康幸議員)と約束しておきながら、翌十四日には審議を一方的に打ち切って、与党単独で採決を強行したのです。
いったい、どこまで、国民への約束を裏切ったら気がすむのか――。
母子家庭団体の実態調査(〇二年)によると、母子家庭のうち年収二百万円以下の家庭が76%にのぼります。ところが、政府は児童扶養手当の支給額を大幅に削減。さらに十八歳まで支給されている手当を、支給五年後から減額するなどの改悪案を通そうとしています。これまで子どもの収入と認定していた父親からの養育費を、母親の収入にし、所得制限で支給額を削減するといういじましさで、弱い者いじめそのもの。
公明党は「“痛み”が避けられないのであれば」と、改悪を容認。そのうえで、就労支援策や融資制度の多少の手直しを「公明党の主張が反映」と宣伝します。
しかし、就労支援策には何の実効性もありません。融資は借金であり、返すめどがなければ生活保護に追いやることになります。五年後から減額という改悪を「公明党の主張で現行の支給期間を維持した」といいわけしています。
公明党は、今年度予算で奨学生が約四万五千人増えたといい、自分たちの“実績”として宣伝しています。
利子つきの奨学金枠は六万一千人増えたものの、無利子奨学生は、四十二万二千人から一万六千人減らしたというのが実態です。日本育英会への国庫支出が10%減らされたためです。
諸外国では、奨学金(スカラシップ)というのは返さなくていい給付のことをいいます。日本で奨学金というと、卒業後に返すもの、つまりローンです。しかも利子までつけた有利子奨学金が導入され、いまでは全体の約半分を占めます。
「奨学金制度の拡充を強力に推進」という公明党ですが、無利子奨学生が減らされたことには、口をつぐんだままです。