2002年6月23日(日)「しんぶん赤旗」
有事三法案に反対を表明したり慎重審議を求める地方議会での決議がひろがるなか、公明党本部がこの動きを妨害する「指示文書」を地方議員あてに出していたことがわかりました。公明党は各地で有事法制反対・慎重審議決議の採択を妨害し、逆に「促進決議」を提出しているところさえあり、有事法案推進勢力の先頭にたっている姿を浮き彫りにしています。
問題の文書は、公明党地方議会局が六月六日付で出した「有事法案反対論の矛盾と問題点について〜地方議会における意見書・請願対応の参考のために」と題するもの。党本部に「有事三法案に反対する立場からの抗議文や慎重審議を求める要請書等が送られてきています」とのべながら、国民の批判や抗議にたいし「看過しがたい重大な事実誤認や意図的な曲解が含まれて」いると攻撃して、地方議会に出される意見書・請願について、「適切な議会対応を図る必要がある」と指示しています。
文書の特徴は「有事法案はあくまでわが国が外敵から攻撃を受けた場合(『予測』や『おそれ』を含む事態)の対応策」などと「日本有事」に対応するものだと描き出し、海外での武力行使に道を開く危険には口をつぐんでいることです。しかし、公海上や他国領域に展開する自衛隊への攻撃も「我が国」への攻撃とみなすことは、国会論戦で政府も認めました。
また文書は、「有事においては、個々の国民の基本的人権が一定の制約を受けることは、やむを得ないことと言わざるをえません」などと人権じゅうりんを正当化しています。
実際、各地の議会では、公明党が有事法制反対決議を妨害する例が増えています。
京都府宇治市では、日本共産党や民主市民ネットなどが共同で提案した慎重審議を求める決議を妨害するため、公明党が「制定を求める意見書」を提案。しかし、自民党も含めて慎重審議決議が採択され、公明党のみが制定意見書に賛成するという孤立ぶりでした。
同じく京都府の八幡市では公明党が提案し、自民党が賛同した有事法案制定を求める意見書は否決、日本共産党を含む四会派と無所属が賛成した「慎重審議を求める意見書」を可決しました。
また、六十八議会が反対・慎重審議決議をあげている長野県では、真田町で「公明副支部長」名の「制定をもとめる請願」が提出されました。結局、慎重審議を求める意見書が採択され、会派としては公明党だけが反対にまわりました。