日本共産党

2002年6月22日(土)「しんぶん赤旗」

医療改悪法案 国民全部が負担増

自民 公明 保守

中身もやり方もひどい


 自民、公明、保守の与党三党が二十一日の衆院本会議で採決を強行し、可決した医療改悪法案。世論に背を向けて強引に押し通すやり方とともに、その内容も国民に一兆五千億円もの負担増をかぶせるというひどいものです。


写真
医療改悪法案には全国各地から反対の声がわき上がっています(写真は国会請願デモ行進する6・13中央集会参加者=国会前)

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3割負担
退職者、入院家族も

 サラリーマンや公務員本人の窓口負担は、来年四月から三割に引き上げられます。会社や役所を退職した年金生活者(退職者医療制度)も三割負担に。家族が入院したときの負担も、現行の二割から三割に上がります。

 たとえば、高血圧症で月二回通院している人の場合。現行の二割負担では月三千五百三十円です。これが三割負担になると月五千二百九十円に。一カ月あたり千七百六十円、一年では二万一千百二十円もの負担増となります。

 厚生労働省の試算では、三割負担の導入による負担増は年間四千億円にのぼります。さらに、負担増によって病院にいくことをがまんする患者がでますが、これによる医療費の給付減(受診抑制)が四千三百億円におよぶと見込んでいます。病気で苦しむ人への冷酷な改悪です。

保険料値上げ
一人平均3万円増

 負担増になるのは、通院や入院が必要な人だけではありません。法案には毎月の給与から支払う労働者の保険料を来年四月から一人平均で年三万円(労使折半)値上げすることも盛り込まれました。「自分は健康だから関係ない」というわけにはいきません。

 改悪法案は、ボーナスからも月収と同じ割合で保険料を天引きする「総報酬制」を導入。年収のなかでボーナスの割合が高い人ほど大きな負担増になります。

 中小企業の労働者が加入する政府管掌健康保険の場合、保険料率は年収ベースでいまの7・5%から8・2%に引き上げられます。「ここ四年間賃金が減り続けるなか、これだけ増やすことが本当にいいのか」(連合の村上忠行副事務局長)との批判が出ているように、不況に苦しむ中小企業の労働者と事業主にいっそうの負担を求めるものです。

お年寄り
1割負担が徹底

 七十歳以上のお年寄りに対しては、いま多くの診療所で実施されている一回八百五十円(月四回まで。五回目からは負担なし)の定額負担制がことし十月から廃止され、一割負担が徹底されます(別表)。一定以上の所得がある人(一人ぐらしの場合で年収三百八十万円程度以上)は、二割負担にはね上がります。

 さらに、現在は通院の場合で月三千二百円(大病院は五千三百円)までとなっている患者負担上限制を廃止。現役世代と同じように、いったん窓口で一割負担分(一部二割)を全額支払ったうえ、あとで自己負担限度額を超える分が払い戻される立て替え払い(償還払い)のしくみになります。

 この自己負担限度額は通院の場合、低所得者(住民税非課税)が月八千円、一般が月一万二千円になります。政府は「低所得者に配慮した」と言いますが、いまの上限額に比べると、低所得者でも二・五倍の負担増です。

 全国保険医団体連合会の試算では、肺気腫で酸素濃縮装置が二十四時間外せないお年寄りの場合、自己負担は月三千四百円から一万一千二百円へと三倍以上に引きあがります。


「負担増避けられない」と言うが…

高薬価と国庫負担の2つの問題にメスを

 政府・与党は「将来にわたって安心できる医療制度を維持するためには負担増が避けられない」と繰り返しています。

 これに対して日本共産党は、医療問題の解決の道として、国が医療費に対する国庫負担の割合を減らし続けてきた問題と、高すぎる薬価という二つの問題にメスを入れるべきだと提案してきました。

 これに関連して厚生労働省は十日、国立病院に対して、“新薬偏重になっている現状を見直し、もっと安い後発医薬品の使用を促進すること”を求める通達を出しました。「新薬シフト」と言われる高薬価構造の是正の必要性を政府自身も認めざるをえなくなっています。

 「国民負担増先にありき」ではなく、まずはいかに負担増を抑えるのかという真剣な議論こそが必要です。

 


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