2002年6月22日(土)「しんぶん赤旗」
「二千六百万人、国民の五人に一人の署名に示されている医療改悪法案反対の切実な声を無視するのか」――。自民、公明、保守の与党三党は二十一日の衆院本会議で、サラリーマン本人の医療費自己負担の三割への引き上げなど年間一兆五千億円もの負担増を押しつける医療改悪法案の採決を強行、可決しました。
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この日、全国各地で法案反対の宣伝・署名行動などがおこなわれ、「自己負担は二週間分で八千円。これ以上高くなれば生きていけない」(福井市・糖尿病の薬を手にした夫婦)など、怒りの声が相次いで寄せられました。
国会への抗議行動では「どんどん勝手に決まってしまう。許せない」(看護師)の声も。本会議を傍聴した高柳厚夫さん(66)は「最も国民の反対が多い医療改悪法案を優先した小泉自民党。もはや打倒するしかない。世論をさらに高める運動にがんばっていきたい」と話していました。
同改悪案では、来年四月から、サラリーマンや退職者本人の負担を二割から三割へ引き上げ、政府管掌健康保険の保険料率引き上げがもりこまれています。また今年十月から、七十歳以上の高齢者に対して、通院の定額制を廃止して一割負担を徹底するなど、大幅な負担増を強要するものとなっています。
日本共産党は、防衛庁リスト問題で政府と国会との正常な関係を破壊したうえ、医療改悪法案を委員会で強行採決するという政府・与党の二重のルール破りに抗議し、本会議の採決に欠席しました。自由党、社民党も欠席。民主党は採決に出席して反対しました。
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自民、公明、保守の与党三党が衆院本会議で医療改悪法案の採決を強行した二十一日午後、「国民の命と暮らしを破壊する暴挙を許すな」と衆院議員面会所で抗議の国会要請行動がおこなわれました。日本共産党国会議員団を代表して志位和夫委員長が、国会報告と激励のあいさつに立ちました。
志位氏は冒頭、本会議での鈴木宗男衆院議員の辞職勧告決議案の可決にふれ、「国民の世論と党国会議員団の奮闘の成果」と強調。二度にわたって同決議案の本会議上程を妨害した与党三党の責任を告発し、「鈴木氏は決議案を重くうけとめ、ただちに議員を辞めるべきだ。この声をつきつけていこう」とよびかけました。
医療改悪法案の採決強行について志位氏は、「やり方も中身も許されない」と強く抗議。政府・与党が、防衛庁リスト問題で国会にウソをつき、政府と国会の正常な関係を破壊しながら、与党単独で法案を衆院厚生労働委員会で強行採決し、本会議採決を強行したルール破りの暴挙を糾弾しました。
さらに、厚生労働省が新薬偏重の是正通達(六月十日)を出すなど、日本共産党が追及してきた高薬価の仕組みの見直しに、部分的ではあれ政府みずから動かざるをえなくなった新たな動きも紹介し、国民負担増を中止し、薬価や公共事業の無駄遣いをやめさせ、将来に安心のもてる医療制度をつくるため、国会は徹底的な審議をつくすべきだと強調。「参院で堂々と問題点を明らかにし、廃案に追い込むために最後まで力を尽くします」と述べ、大きな拍手に包まれました。