2002年6月20日(木)「しんぶん赤旗」
|
衆院議院運営委員会は十九日午前、鈴木宗男議員をあっせん収賄容疑で逮捕するための許諾請求について各党の意見表明をおこないました。日本共産党の児玉健次議員は「速やかに許諾すべきだ」と主張、請求を全会一致で可決しました。
児玉氏は、議員の不逮捕特権(憲法第五〇条)について、政府行政、司法などの権力が、政治的動機を持って議員の活動を妨害するということは断じて許されないというのが憲法の趣旨であることに言及。「政府が政治的意図を持って議員逮捕を要求しているものであれば、院は断固として許諾を拒否しなければならない」とのべました。
そのうえで、十八日に法務省が説明した容疑の内容・背景、逮捕の必要性に照らし、今回の逮捕理由が政府権力の政治的動機によって鈴木議員の議員活動を妨害するために身体の自由を拘束するものではないことは明白であると指摘。「こうした状況で逮捕許諾をしないとすれば、不逮捕特権の乱用となり、国会の行為によって司法、裁判に重大な悪影響を及ぼすことになりかねず、到底許されない」と強調しました。そして、国会は鈴木議員の政治的道義的責任を明らかにする責務があり、一方、捜査当局が徹底的に捜査し刑事責任を追及するのは当然とのべました。
日本共産党の児玉健次議員が十九日の衆院議院運営委員会でおこなった鈴木宗男議員の逮捕許諾請求に対しておこなった意見表明は次の通りです。
私は、日本共産党を代表して、本件逮捕許諾について、本院は速やかに逮捕許諾をすべきものであるとの態度を表明します。
議員の不逮捕特権は、全国民の代表として、国権の最高機関の構成員である議員が、自由、独立に活動し、その職責を果たすことができるように保障するためのものです。政府行政、司法などの権力が、政治的動機を持って議員の活動を妨害するということは断じて許されないというのが憲法第五〇条の趣旨であります。政府が政治的意図を持っての議員逮捕を要求しているものであれば、院は、そのような要求に対しては断固として許諾を拒否しなければなりません。
本件についてみますと、逮捕許諾を求める要求書によれば、被疑者鈴木宗男議員は、平成十年(一九九八年)八月四日ころ、内閣総理大臣官邸内内閣官房副長官室において、やまりん株式会社取締役会長山田勇雄、同社代表取締役社長山田哲らから、同社が国有林野において立木を不正に伐採し搬出したことにより、帯広営林支局から林産物販売に関する競争参加資格の七カ月停止の行政処分を受けたことに関し、国有林野の林産物処分を行う権限を有する林野庁の幹部職員に対し、同社が行政処分を受けなかった場合に購入し得たと同量の林産物を停止期間終了後に随意契約で購入し得るように取り計らうよう働きかけてもらいたい旨のあっせんの請託を受け、その報酬として現金五百万円の供与を受けたというものです。これが、公務員が請託を受け他の公務員に職務上不正な行為をさせるようにあっせんすることの報酬としてわいろを収受した場合に適用される、あっせん収賄罪に当たるというものでありました。
その容疑の内容、容疑事実の背景、容疑事実を認めるための相当な理由、逮捕の必要性については、昨日の秘密会において法務当局から詳細な説明がありました。
本件逮捕の理由、動機が、政府権力が政治的動機によって鈴木宗男議員の議員活動を妨害するためにその身体の自由を拘束しようとしているものでないことは、この経過に照らして明白です。もし、こうした状態で逮捕許諾をしないとすれば、不逮捕特権の乱用となり、国会の行為によって司法、裁判に重大な悪影響を及ぼすことにもなりかねず、到底許されないものと私は判断します。
鈴木宗男議員にかかわる一連の疑惑など、政治とカネにかかわる腐敗事件に国民は重大な疑惑をもっています。こうした疑惑に対し、国会はその全容を解明し、鈴木議員の政治的道義的責任を明らかにする責任があります。捜査当局は徹底的に捜査し、刑事責任を追及することは当然のことです。
以上の理由により、速やかに本件逮捕を許諾すべきであることを申し述べ、意見表明といたします。