2002年6月20日(木)「しんぶん赤旗」
東京地検特捜部は十九日、鈴木宗男衆院議員(自民党を離党)をあっせん収賄容疑で逮捕しました。これに先立ち、衆院は鈴木氏の逮捕許諾を全会一致で議決しました。日本共産党の「ムネオハウス」(国後島「友好の家」)疑惑追及に端を発した、国会での一連の追及と真相解明の努力、政治腐敗一掃を求める国民世論が、政治悪を追いつめました。今回の事件では、企業の依頼を受けての“口利き”への「対価」としての献金が、届けられていてもわいろとして認定されたことで、企業献金そのもののわいろ性がいっそう鮮明になりました。自民、公明、保守の与党三党が、同日、会期延長を強行した国会で、鈴木疑惑の引き続く解明と、公共事業受注企業からの献金禁止など「政治とカネ」の問題が待ったなしで問われることになります。
鈴木宗男容疑者は十九日午後、東京・南青山の自宅を出た後、特捜部に任意同行を求められ、午後四時半すぎ、霞が関の検察庁舎内で逮捕されました。特捜部は、逮捕とともに、鈴木議員の都内の自宅や事務所、贈賄側の林業会社「やまりん」(北海道帯広市)など複数の関係先を家宅捜索しました。国会議員が許諾議決を経て逮捕されるのは、戦後十五件目。特捜部は、林野庁に対する不正な口利きの実態とともに、北方支援事業などへの介入疑惑についても解明を進めます。
特捜部の調べなどによると、鈴木容疑者は、官房副長官に就任した直後の一九九八年八月四日、違法伐採で入札参加資格停止の行政処分を受けたやまりん会長らから依頼を受け、同社が処分終了後、随意契約などでもとどおりの受注額を確保できるよう林野庁幹部に要請。同日、やまりん側から見返りとして五百万円のわいろを受け取った疑いです。
鈴木容疑者は、十八日の国会での弁明で、やまりんから副長官就任祝いとして四百万円を受け取り、政治献金として処理したと主張。しかし、特捜部は、現金は五百万円で、公平な処分をゆがめる「不正行為のあっせん」に対するわいろと認定しました。
やまりんは九八年六月二十六日、国有林を不法伐採したとして、帯広営林支局(当時)から七カ月の入札参加資格停止処分を受けていました。