日本共産党

2002年6月14日(金)「しんぶん赤旗」

きょうにも採決強行狙う自公保

医療改悪法案

どこまで背信重ねるのか


 自民、公明、保守の三党は医療改悪法案の審議を打ち切り、十四日にも衆院厚生労働委員会で、与党だけの単独採決を強行する構えです。医療の将来にたいする国民の不安をなくすための「改革」といいながら、法案反対が多数を占める世論をふみにじって成立を狙うのは、民意不在、異常としかいえません。

医師会からも「修正」求める

 委員会審議に時間をかけ、「議論が煮詰まってきた」というのは与党議員だけです。十一日の参考人質疑では問題点指摘の声が圧倒的でした。賛意を示した与党推薦の参考人もすべて条件つきです。将来の不安がなくなる「改革」だと積極的に評価する意見は与党推薦の参考人からもなく、自民党が支持基盤とする日本医師会は法案の「修正」を求めました。

 九日放映の報道番組の世論調査は、法案成立に反対する回答が賛成の二倍を超え、57・8%を占めました。十三日には地方公聴会を開いたばかり。名古屋市の会場で公明党の江田康幸議員は、この日の意見を「存分に参考にする」とのべました。ところが中央公聴会の開催要求を拒否したうえ、地方公聴会から一夜明ければ与党だけの単独採決をもくろむ――。本当に踏み切れば、国民を欺くことになります。

 自民党自身、審議のスタートにあたって「国民の皆さんからは負担増の不安がたくさん聞かれる。展望のもてるものでなければ国民の理解が得られない」「国民の皆様に医療制度の課題を十分に理解いただく、こういうことが大変重要である」(長勢甚遠議員)とのべていました。

 その後の審議を通じ、法案への「理解」が多数という世論調査がでたのか。坂口力厚労相は日本共産党の小沢和秋議員に問われて、「手元にない」(十二日)と答えざるをえませんでした。「十分な理解」どころか、成立反対が多数の世論にしたがおうとするなら、会期末を迎えて廃案というのが下すべき結論なのです。

具体像は皆無負担増は深刻

 まして法案審議を通じてわかったのは、将来への展望を開くような「改革」の具体像は皆無だということ、リアルになったのは国民負担増の深刻さです。患者自己負担増、保険料引き上げの合計は年一兆五千億円に及びます。家計消費の回復を遅らせ日本経済にも悪影響を与えるものです。

 労働者はすべて三割負担、高齢者は定額払いの完全廃止で一割負担を徹底、自己負担を軽減するための限度額制度の後退など、法案は「負担の限界」まで国民からもれなくしぼりとろうという改悪です。高齢者には二倍増、三倍増のケースも明らかにされました。

 労働者は九七年八月までは一割負担で、来年四月からの三割負担が実施されると、わずか六年間で三倍という空前の負担増です。高齢者(七十歳以上)も負担増の連続で、九〇年に一万九千九百八円だった一人あたりの患者負担(年間)は、九九年には六万九百四十三円と三倍になりました。

 さらに来年度の介護保険料の値上げ、続く年金給付の削減と社会保障の改悪が目白押しです。この医療改悪法案は、とどまることのない負担増の一里塚です。

 坂口力厚労相を改悪法案の先陣に立て、採決強行をねらう公明党は、「公明の参議院選挙に臨む重点政策」(九八年五月)で「医療費の新たな患者負担増に反対します」と公約して国民の支持を集めました。この背信行為を「いまも変わっていない」(坂口氏)などという答弁で居直り、採決強行に踏み切ろうとしています。

 国民負担増ばかりを求める医療改悪法案の採決強行は、世論への背信を重ねる暴挙です。(斉藤亜津紫記者)

 


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