2002年6月14日(金)「しんぶん赤旗」
衆院厚生労働委員会は十三日、愛知県名古屋市、栃木県宇都宮市の二会場で医療改悪法案に対する地方公聴会を開きました。公述人からは「地方公聴会を単なるセレモニーにしないで、十分に審議をつくしてほしい」など、採決強行を批判する意見が出ました。
名古屋市では、愛知県社会保障推進協議会の加藤瑠美子事務局長が、法案反対の署名が県内で百五十万を超え、切実な声が多数寄せられていることを紹介。「倒産やリストラの不安にさらされ、生活が圧迫されている。医療費の負担増はこれに追いうちをかけるもの」と訴えました。
医療法人医真会の森功理事長は、来年四月からの健保本人三割負担とあわせて、六カ月を超える入院患者などに保険外負担を拡大するやり方は「とんでもない」と批判しました。
質疑のなかで公明党の江田康幸議員は「(公述人から出された意見は)国会の審議に存分に参考にさせていただきたい」と発言。これに対して愛知大学の加藤良夫教授は「もし明日(十四日)採決ということになれば、ここでの意見は反映されないのではないか」とのべました。法案に賛成の立場の公述人からも「内容的には必ずしも十分とは言いがたい」などの意見が相次ぎました。
日本共産党から瀬古由起子議員が質問に立ちました。
栃木県宇都宮市で行われた十三日の医療改悪法案の地方公聴会では六人が意見陳述し、各党議員が質問しました。
耳鼻科医師の金子達さんは「先の見えない法案で、患者と医療機関にだけ損を押しつけるもので、オーケーできない」と反対。
在宅医療を積極的に展開している、おやま城北クリニック院長の太田秀樹さんは、「高齢者には、個人の年金も自由に使えない人も珍しくない。負担増は受診抑制をして、最低の治療も受けられない人もでるだろう」とのべました。
栃木保健医療生活協同組合専務理事の柴野智明さんは、月三万円の収入しかない七十九歳の男性の例を紹介。「いま月千七百円の窓口負担が、改悪で千九百九十円になる。わずか二百九十円とみえるが、患者さんにとっては十円、二十円が大変重い」と訴え、法案に反対しました。
他の三人の意見陳述人は、「日本の皆保険制度を安定させるため」として、法案に賛成しました。
日本共産党からは塩川鉄也衆院議員が質問しました。