日本共産党

2002年6月13日(木)「しんぶん赤旗」

防衛庁報告

与党圧力で隠ぺい、改ざん

山崎幹事長、介入認める


 防衛庁が十一日に公表したリスト作成問題の調査報告について、自民・山崎拓、公明・冬柴鉄三、保守・二階俊博の与党三幹事長が「概要」だけを公表するよう圧力をかけていたことが明らかになりました。この問題で、自民党の山崎幹事長は十二日、国会内で記者団に説明し、与党側から「四枚のペーパー(概要)で説明したらどうかと意見を言ったのは事実だ」と介入を認めました。


 この問題は、十一日に行われた防衛庁から与党三党幹事長への説明の場で、与党側が報告書を「概要」だけにとどめることや「概要」の内容を改ざんするよう指示したもの。いったんこの「概要」が「調査報告」として衆院有事法制特別委員会理事会に報告されましたが、野党やマスコミの強い批判で同日夜、報告書全文が公表されました。

 山崎氏は、「概要」に当初入っていた「証拠隠しを行ったと言われてもやむを得ない」という文言が削られたことに関連し、与党側が「誤解を受けないような表現にしたらどうか」と指示していたことや、報告全体を含む残りの文書について「(衆院有事法制)特別委員会の説明資料にしたらどうか」とのべたことも認めました。これらを発言した人物がだれであるかは「言えない」「忘れた」と明言を避けました。

 責任問題について山崎氏は「命令、指示をしたわけじゃない。意見を言っただけだ」とのべ、最終的な調査報告の公表は「防衛庁長官の責任で行われた」と繰り返しました。


国会愚ろう、責任重い

志位委員長

 日本共産党の志位和夫委員長は十二日、自民、公明、保守の与党三党の圧力で防衛庁の個人情報リスト作成に関する調査報告の「概要」だけが国会に報告された問題について、「国会にたいし、報告のごく一部で、しかも、大事な部分を削除したものを、『報告』と称して配布したわけだから、国会全体を愚ろうし、だましたことになる。この責任は非常に重い」と批判しました。国会内での定例会見で記者の質問に答えました。

 志位氏は、のちに報告の全体が提出されたものの、「国会をあざむいた事実は残っている」と指摘。第一に、「どういう経過で報告の『概要』を『報告』として出したのか、どういう理由で報告全体を隠したのか、政府にたいして事実の経過の説明をきちんと明らかにすることを求めたい」と強調しました。第二に、「明らかになっている報告全体を読んでも、問題の本質を防衛庁・自衛隊の手で明らかにすることはできないことが浮き彫りになっている」と指摘、「防衛庁・自衛隊の関係者や与党三党の幹事長らを国会に招致し、事実関係の徹底的な究明のための集中的な審議が必要だ」と強調しました。


事実と責任明らかに

野党4党

 日本共産党、民主党、自由党、社民党の野党四党は同日、国対委員長会談と書記局長・幹事長会談を相次いで開き、防衛庁報告問題での対応を協議。十一日の衆院有事法制特別委員会理事会で四ページの「調査報告」が出されたことで、野党側が正式の報告書の存在をただしたのに対し、防衛庁の防衛局長が「これ以外にはない」と明白なウソをついたこと、与党三党幹事長が防衛庁に報告の改ざんや隠ぺい・虚偽の指示をしていたことについて「国権の最高機関たる国会を冒とくする行為であり、断じて許し難い」との認識で一致しました。

 そのうえで、(1)防衛庁の調査報告書は信用するに足りず、第三者による厳正な調査を政府・与党に求める(2)調査報告書の隠ぺいと虚偽報告について事実関係と責任の所在を明らかにするよう政府・与党に求め、実現しない限りすべての国会審議に応じない――の二点を確認しました。

 野党四党の参院国会対策委員長も同日夕に会談し、書記局長・幹事長会談を受けて対応することを確認しました。

 


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