2002年6月12日(水)「しんぶん赤旗」
防衛庁が情報公開請求者の個人情報リストを作成し、組織ぐるみの人権侵害だとしてきびしい批判をあびている問題で、同庁は十一日、「調査報告書」を公表しました。しかし、当初四十ページとされていた発表文は与党の注文でわずか四ページの概要となり、同日深夜、会見をやり直す事態になりました。
報告書では、海上幕僚監部の三等海佐によるリスト作成・配布を違法と認定。しかし防衛庁内局、陸・空両幕僚監部がリストを作成し、庁内情報通信網(LAN)に掲載していたことについては「不適切」だが「違法性はない」と結論づけました。焦点の「組織ぐるみ」問題の解明は避けました。
報告書は海幕のリスト作成について、(1)「受験者の母」、「反戦自衛官」など、情報公開業務遂行に必要のない個人情報を記載しており、「行政機関個人情報保護法」四条二項に違反(2)三等海佐が情報公開室以外に配布した行為は、「個人情報をみだりに他人に知らせてはならない」とする同法一二条に違反――としています。
しかし、内局、陸・空幕が問題発覚後に個人情報を削除してLANに再掲載し“隠ぺい工作”と批判を受けていることについては、「証拠隠しの意図はなし」と正当化しています。
一方、新たに空幕情報公開室員がリストを東京地方調査隊隊員に配布していたことや防衛施設庁のリストが担当外も閲覧可能なLANに掲示されたことは、違法と認めました。