2002年6月8日(土)「しんぶん赤旗」
日本共産党の不破哲三議長と志位和夫委員長が七日、連名で、インドのアタル・ビハリ・バジパイ首相とパキスタン・イスラム共和国のペルベズ・ムシャラフ大統領に、両国の駐日大使を通じておくった書簡全文は次のとおりです。(掲載文はインドあて。パキスタンあては、国名表記がパキスタン、インドの順に、「あなたの国の政府とパキスタン・イスラム共和国政府」の部分が「あなたの国の政府とインド政府」になっています)
インド・パキスタン両国間の紛争の現状について、私たちは、アジアと世界の平和をまもる立場から、深刻な危惧をいだいています。紛争が、軍事衝突から全面戦争へと、危険な拡大の道をすすむことがあるならば、その惨害ははかり知れません。
あなたがた両国が核保有国であるということは、私たちの憂慮を、いっそう重大なものとしています。万一にも今後のなりゆきのなかで、核戦争という最悪の事態がおこれば、数百万から一千数百万人もの犠牲者が出るともいわれており、さらにその被害は地球のより広大な地域をもおおうことになります。そうした恐るべき事態は、何としても回避しなければなりません。私たちは、被爆国である日本国民の共通の、痛切な気持ちとして、このことをあなたがたに強く訴えるものです。
私たちは、インド、パキスタンがともに非同盟運動に重要な位置を占めていることを非常に重く見ています。非同盟運動は、どんな紛争も平和的に解決する努力をつくすことを国際政治にのぞむ大原則とし、核兵器の問題でも、核兵器使用禁止、期限を切った核兵器廃絶の課題を高く掲げて、今日、国際社会で大きな道義的権威をもち、平和を願う世界のすべての人びとを励ましてきました。この非同盟運動に属する二つの国が、紛争の平和的解決の道を放棄し、かりにも全面戦争に突入することになれば、両国民の甚大な犠牲をもたらすだけでなく、世界平和にとって重大な脅威となり、非同盟運動の大義そのものを大きく傷つけることになります。
私たちは、こうした立場から、あなたの国の政府とパキスタン・イスラム共和国政府にたいし、非同盟運動の大義に立ち、あらゆる紛争の平和的解決と核兵器使用禁止・核兵器廃絶というこの運動の本来の精神にもとづいて、カシミール問題をはじめ、両国間に存在する紛争問題の解決に全力をつくすよう申し入れます。具体的には、以下のことを強く要請するものです。
一、武装テロ勢力の越境侵入を含め、あらゆる戦闘行為をただちに中止すること。
二、そのうえで、事態の平和的打開のために両国間の対話を再開すること。
三、双方が、国際社会にたいして、どのような理由であれ正当化されない核兵器の使用はおこなわない旨声明すること。