日本共産党

2002年6月5日(水)「しんぶん赤旗」

旧産炭地3100人雇用守った

建交労福岡県本部

失業対策事業を存続させる


 福岡県の旧産炭地である飯塚、田川、直方の各市などで全日本建設交運一般労働組合(建交労)福岡県本部が「失業者、高齢者の雇用を守れ」と運動をすすめ、国の失業対策諸事業を存続・活用させて三千百人をこえる雇用対策を維持しています。「これで路頭に迷うことがなくなった」と喜ばれています。

自治体や商工会と力合わせ運動

“これで路頭に迷わずにすむ”

地域ぐるみで

 かつて「炭都」として栄えた福岡県のこれらの地区も、人口はピーク時の約半数に減少。国の失対事業が地域に働く場をもたらし、地元経済の疲弊防止に一役かってきました。ところが政府は一九九八年、“石炭関連事業は終息した”として、長年つづけてきた産炭地域開発就労事業をことし三月三十一日で廃止する方針を打ち出しました。

 建交労県本部は「町と地域経済を守ろう」と運動。労組だけでなく市町村長や議会、商工会、商工会議所などに共同行動を働きかけ、地域ぐるみの運動に発展しています。

 田川(田川市など一市八町一村)や直鞍(直方市など一市四町)、嘉飯山(飯塚市など二市八町)の各地区住民は、それぞれ住民大会を相次いで開催。首長や議会議長、団体代表らがこぞって参加し、「就労事業存続を」「雇用対策、産炭地振興策の充実強化を」などの要求を国と県に突きつけました。

 こうした運動の広がりのなかで、政府は産炭地域開発就労事業(開就事業)を五年間の暫定開就事業として存続、約三百九十人が雇用できる事業として残しました。合わせて特定地域開発就労事業(特開事業)で約二千八百人の失業対策事業を維持しています。

拡充こそ必要

 建交労県本部の松田康幸書記長は「長引く不況で人は減り、地域はさびれ、肉屋さんも米屋さんも困り果てています。こういうときだからこそ失業対策、地域振興策が重要です。失対事業は拡充こそ必要です」と強調します。

 開就事業の内容は、道路や工業団地、公園の整備など土木作業が中心です。長引く不況と疲弊した地域経済にとって、けっして十分とはいえない雇用対策ですが、地域にとっては貴重です。組合員からは「ことし四月から仕事がなくなるかと不安だったがほっとした」「事業は暫定的だが、黙っていては道は切り開けない。さらにがんばる」などの声が聞かれます。

 これとは別に二〇〇〇年からは、県と市町村が独自に基金(百二十一億円)をつくり、自治体が高齢者事業団やシルバー人材センターを通して中・高年に仕事を発注する緊急地域雇用創出特別対策も始まっています。

 建交労田川支部の赤瀬重則書記長は「いま組合として五者協議(市長・県議・業者など)などに積極的に参加し、地域全体の雇用、失業問題の解決をはかっていこうとしているところです。開就・特開事業も、この大きな“まちづくり運動”のなかに位置づけ、住民の共感が得られる運動をすすめていきたい」と語っています。(綾部 健記者)


 【開就・特開事業】開就事業は一九六九年六月に「産炭地域の地域振興を図り、石炭及び石炭関連企業の合理化に伴い離職した者に対し臨時的に就労の機会を与える」として実施。特開事業はその二年後の七一年六月、「特定地域の地域開発を図り、中高年失業者に対し、臨時的に就労の機会を与える」として制度が設けられました。

 


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