2002年5月30日(木)「しんぶん赤旗」
患者負担増に反対していた公約を投げ捨て、医療改悪法案に賛成して三割負担導入の先頭に立つ公明党。二十九日の衆院厚生労働委員会で、日本共産党の佐々木憲昭議員が公明党の坂口力厚労相を追及しました。
佐々木「反対の声のうねりは大変なもの。どう受けとめているのか」
坂口「おしかり受けても、お願いすべきものはお願いしたい」
審議のなかで窓口負担、保険料引き上げによる負担増が約一兆五千億円に及ぶことが明らかになった医療改悪。これに反対する意見書を提出した地方議会がすでに五百七十五議会、国会への請願署名が二千五百万にのぼることを示し、坂口厚労相にどう思っているのか問いただしました。
坂口氏の答弁からは国民の痛みへの思いはまったく感じられません。「軽い病気は三割負担だが、重い病気は(自己負担に)上限があるから軽くなる。重い病気になるほど軽くなる」と、影響はたいしたことがないかのようにのべました。
佐々木議員は「医療費の新たな患者負担増に反対します」という公明の参院選挙政策(九八年五月)を読み上げました。
佐々木「大臣になったら自民党と同じことを主張するのか」
坂口「現状からいうと、そう(反対)はいってられない状況になった」
負担増推進の立場を否定できない坂口氏。代わりに「保険財政が行き詰まっている。それならばご負担をいただく以外にない」と答えます。
「本当にそういう方向しかないのか」。佐々木議員は、参院選挙政策を「大いに語ろう」という「公明新聞」(九八年六月六日)の党員向け記事を読み上げました。「新たな患者負担には断じて反対です。このため、やはり行政改革や公共事業の見直しを断行して税金のムダ遣いをなくし、この財源を活用して、高齢化社会に対応した医療制度改革を重視する考えです」。このやり方で「なぜできないのか」と佐々木議員は聞きました。
答弁席に立った坂口氏。こわばった表情、投げやりな声で「だからいまやっているんですよ」。答弁にならない答弁に委員会室はドッと笑いにつつまれました。
坂口「経済がいいときはいいですよ。現在のような経済状況で、これからも大きな成長が認められない状況になってくれば、そういう(負担増)方向しかないんです」
佐々木「九八年のときは大変な事態で、金融危機が生まれるという状況ですよ。そういうとき出した公明の政策は、財源はできるといっていたじゃないですか。いまやっていることは全然逆だ」
議場に響く迫真の追及。「負担増反対と負担増どうぞ。これは百八十度違う、これは認めますね」とただす佐々木議員に、坂口氏は「大きなところは変わっていない」。虚勢を張りましたが、委員会室には爆笑が。
それでも「孫子のための制度改革」と言い訳を続ける坂口氏。佐々木議員は「国民にどんどん負担をかぶせることだけが政策ではないですよ」とのべました。(S)
◇
「いやー、拍手喝さいだった」というのは、福島市の医療生協理事の五十嵐文一さん。「坂口大臣はついに答弁不能になったね。佐々木さんは迫力があった。これは帰ってみんなに教えないと。今日の話もしながら改悪反対署名をまた一回り広げたい」