2002年5月28日(火)「しんぶん赤旗」
埼玉県児玉町で、「解同」(部落解放同盟)が議会を相手に「糾弾会」を行う異常な事態が起きています。今年三月に法的根拠を失った同和対策と利権の継続を狙ったものです。議会でこれに反対しているのは日本共産党だけ。四月二十五日に続き、五月三十日にも行われようとしています。
四月二十五日の「糾弾会」は、町の総合文化会館が使われました。出席者によると、正副議長ら議員十人(定数二十、欠員一)、執行部も助役、収入役、教育長、課長らが出席。「解同」県連幹部が議事を取り仕切り、「解同」員ら百人近くを前にA議員(保守系無所属)が「差別発言」をしたと「確認」し、「反省と謝罪」を求めました。
同町では、現在でも同和地区住民の税の減免や「解同」への補助金など総額一億五千万円もの同和対策予算があります。「解同」は「糾弾会」で配った文書で、行政には「同和行政の後退を許さない」こと、議会には「解放運動への協力」などを提起しています。
A議員の発言は、「解同」員が関与した土地取引疑惑の追及について、「解放同盟(の幹部をしている議員)とは一緒にやれない」と言ったというもの。「解同」は、この発言を同和地区住民に対する差別発言だと決めつけ、「議会の差別体質をただす!」と議会全体に矛先を向けました。
これに対し、神部国雄議長は、「差別発言は全く言葉を失う」「発言者個人のことでなく、議会議員全体の問題として真摯(し)に受け止め十分反省する」と、「解同」言いなりの見解を表明。「議員各位」に、三十日の「糾弾会」出席を求める公文書まで出しました。
しかし、「解同」の「確認・糾弾会」は、法務省も「主観的な立場から恣意(しい)的な判断がなされる可能性が高い」として、「出席すべきでない」との見解(一九八九年八月)を示しているものです。
「発言」が突如明るみに出たのは今年三月十四日、児玉町議会の調査特別委員会でした。これは、同町にある江戸時代の盲目の国学者・塙保己一(はなわ・ほきいち)の生家(国指定史跡)を町が買い取る計画をめぐって浮上した、土地取引疑惑の究明のために設置されたものです。
この日、初めて特別委員会に出席した元土地所有者(「解同」員)は、説明を求められたのに対し、「ちょっと待った!」と一喝。A議員の八カ月前の「発言」メモを示し、「この問題をはっきりしてもらわないと委員会に協力できない」と居直りました。
これに、一部の議員が「本当なら重大だ」と呼応。議会は一転して「発言」問題への対応に追われることになりました。
日本共産党の児玉支部は、「解同」の暴挙を告発するビラを全戸配布。四月の「糾弾会」当日には、鈴木常夫議員を先頭に街頭から訴えました。町民からは、「頑張ってくれ」「『解同』は今ごろ何をやっているのか」などの反響が相次いでいます。
そうしたなか、「解同」は、日本共産党に対しても、「共産党の差別報道に対する議会議長及び議会の見解を求める」と攻撃しています。
鈴木議員は「『解同』の議会への不当な糾弾は『差別発言』を利用して同和の利権確保を狙うもので、このような横車は議会制民主主義への挑戦であり、絶対に許せません」と話しています。