2002年5月23日(木)「しんぶん赤旗」
日本共産党の志位和夫委員長は二十二日の記者会見で、中国・瀋陽の日本総領事館事件に関し、亡命を希望していた北朝鮮住民五人がフィリピンに向け中国から出国するとのフィリピン外務省の発表について問われ、次のようにのべました。
一、いまの段階は、フィリピン外務省の発表という段階ですから、その段階でのコメントということですが、私たちは、亡命を希望されていた五名の方々の処遇については、人道的な処遇を求めてきました。ですから、今回の方向というのは、喜ばしいことだと考えています。
一、同時に、今後の問題として、日本の外交の信頼をほんとうの意味で回復していくためにも、真相の究明ということは引き続き必要です。
また、こういう事態が起こったときに、どういう対処をするのか、その方針が日本の場合、世界の常識からみても問題にされているわけですから、この方針を見直してきちんと確立する。この二つの点が引き続く問題として、重要だと考えています。
瀋陽の日本総領事館に北朝鮮住民五人が駆け込み中国武装警察官に連行された事件で、五人は二十二日夕、中国機で北京をたち、同国福建省アモイをを経てフィリピンのマニラに午後十時(日本時間午後十一時)すぎ到着。同日午後十一時二十五分(同二十三日午前零時二十五分)ごろ韓国機でソウルに向け出発しました。ソウル到着は二十三日未明になる見通しです。
これについて中国外務省は同日夜、「国内法と国際的慣例に基づいて、人道的観点から適切に処理した」との報道官談話を発表しました。
五人の中国出国とマニラ経由での韓国入りは、同日午前、フィリピンのエブダリン外務次官がマニラで記者団に明らかにしました。
また、五人の受け入れを表明していた韓国側は同日、駐マニラ大使がフィリピン外務省を訪ねて協力を求めました。
川口外相の同日夜の記者会見によると、中国側は五人の出国について、二十一日夜、日本側に事前通告していました。
身柄拘束した住民の第三国出国を中国が認めたのは、公表されている限りでは今回が初めてです。
今回の総領事館事件の事実関係をめぐっては、日本政府が「武装警察官が無断で入った」と主張、中国側は「館員の同意があった」とし、真っ向から対立しています。中国は五人の第三国移送に当たっても「主権の範囲内」の問題であるとして、日本の関与を拒否する姿勢を貫いてきました。