日本共産党

2002年5月22日(水)「しんぶん赤旗」

個人情報保護法案

「罰則ない」が裁判には影響

衆院委 内閣審議官が認める


 十七日に衆院内閣委員会で審議が始まった個人情報保護法案。同法案が個人情報の取り扱いに関する「基本原則」で、「適法、適正な取得」や、「本人の適切な関与」を求めていることが、表現・報道の自由を侵害するかどうかが、議論の焦点になりました。

 審議では、「罰則ではなく、努力義務だから、報道の自由を侵害しない」という政府見解の矛盾が、早くも露呈しました。

 自民・渡辺具能議員 訴訟になった場合、今回の法律が裁判を進めていくうえで、どういう影響力があるのか。

 藤井昭夫内閣審議官 プライバシー事件がすでに発生し、民法上の保護行為にもとづいて損害賠償が請求されていたり、刑法にもとづいて名誉毀損(きそん)の訴えがなされていたりする場合、争点の一つとして、取材方法が適法、適正であったかということが、裁判所の解釈原理になるのではないかということはありうる。

 この日の審議で、政府は、裁判で法案の「基本原則」が「解釈原理」になりうると認めました。

 たとえば、政治家の疑惑を報道した報道機関にたいし、本人が「プライバシーの侵害」だと訴えた場合、取材方法が「適法、適正」であったかどうかなどが、法案の「基本原則」に照らして裁判で争われる可能性もあるということです。

 「基本原則」がこのように適用されることになれば、報道する側がそれをおそれ、取材や報道の萎縮(いしゅく)にもつながります。報道・表現の自由を侵害することになるのです。

 


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