日本共産党

2002年5月20日(月)「しんぶん赤旗」

ゆうPRESS

“僕らの力は大きい”

テロも戦争もない21世紀へ

動きだす勇気もてた


 初めての署名、実感した若者の力――。「21世紀をテロも戦争もない世紀へ 高校生の一万人アピール署名」実行委員長の田代雄也さん(18)=定時制高校四年=はこの半年、「自分から動きだす勇気」を学びました。和田 肇記者

高校生の1万人アピール署名

実行委員長 田代雄也さん

 じっと話に耳を傾け、気になる言葉があるとリポート用紙にメモをとる姿が印象的です。

 「代表は、君しかいない」。仲間に請われ、「高校生一万人アピール」の実行委員長を引き受けました。でも最初は、なかなか友達に声をかけられませんでした。

 署名を学校に持っていっても、みんなに見せられずに帰る日々。あるとき、友達がビンラディンの話をしていました。「ここだ、と思いきって署名用紙を出したんです」。へえ〜、とあっさり書いてくれました。その後は、次々声をかけました。「すごいね」と励ましてくれる友達。「こいつは絶対に書いてくれなさそう」と思っていた人も、「いいよ」と気軽に応じました。

 昨年九月、アメリカのニューヨークで起きたテロ、続く報復戦争が署名のきっかけでした。「一人でも多くの人が平和をアピールするには署名がいい」と高校生で話し合い、目標は一万人にしました。署名は、小泉首相に「テロ根絶のため、憲法九条をいかし、国連を中心とした、非軍事の“法にもとづく裁き”による解決の先頭に立つ」ことなど四項目を求めています。

9千人の思い

 田代さんは、テロと報復戦争に反対する集会などにも積極的に参加しました。他の高校の先生、多くの市民・青年団体や労働組合に協力を呼びかけました。実行委員も増え、一人で百人から署名を集める人も。実行委員の父親が職場の同僚から署名を集めてくるなど、手から手へ、支援の輪は全国に広がりました。

 高校生の署名活動にマスコミも注目しました。担任の先生が「けさの新聞に田代君の記事が載っていたね」と紹介すると、みんな大騒ぎ。「あの署名? 私も書いたよ」と自慢気に話す人もいました。これまでに外務省に提出した署名は九千五百四十四人分。手元にはまだおよそ二百人分が残っています。

 数多くの手紙も寄せられました。

 ――たくさんの署名が集まり、またこの署名が平和に近づく第一歩になることを祈っています。

 ――日々の生活のなかでも、平和な世界になるよう、一人一人が何をすることができるのかを考え、生活していきたいと思います……。

 「九千人以上の署名の裏には、九千人以上の平和の思いがあるんです」

周囲に流され

 一万人署名を通して「自分から動きだす勇気が持てた」という田代さん。全日制高校を中退して、定時制に編入した経験があります。

 全日制は「まじめに勉強している雰囲気じゃなかった」。授業中、生徒の半分は後ろで音楽を聴いていました。机の上にはスナック菓子。横になって寝ている人……。あと半分の生徒もノートをとっているだけ。田代さんは、音楽を聴いているグループとノートをとっているグループを行ったり来たりしていました。

 「あのころは『みんなやってるし』と楽なほうへ流されていました」。本当は、分かるまで勉強したかった。でも、素直な気持ちを出せずに友達と遊んでしまいました。「定時制は授業が終わっても先生が質問に答えてくれる。学校への見方が変わりました」

平和ゼミ知り

 定時制二年の夏、友達に誘われて高校生平和ゼミナール(平ゼミ)に参加しました。「戦争はどうして起こるのかという疑問がありました。行ってみると、平ゼミはみんなで楽しく学べる場だったんです」。話し合いを重ねて一からみんなでつくりあげる、田代さんの望む「学び」がそこにありました。

 戦跡巡り、平和集会など平ゼミの活動は多彩です。戦争体験者の訴えが心に残っています。「二度と戦争を起こしてはいけません。若いあなたたちが、平和な世界をつくってくれるよう、期待しています」。田代さんは「僕らが戦争の事実を伝えていかなきゃ」と思うように。いつしか平ゼミの中心的メンバーになっていました。

 いま、田代さんが見つめているのは有事法制の動きです。

 「誰も人殺しなどしたくない。殺されたくもない。日本を戦争に巻き込むのは許されません。有事法制に反対する新しい署名を集めていきたい。僕らの力は大きいと実感しましたから」


新入生の価値観は

名古屋大・安川名誉教授が調査

91年〜今年
ミスコンは女性差別 8.9%→9.5%
日本が侵略した国わかる 68.7%→42.9%

 名古屋大学の新入生を対象に、戦争の歴史認識や女性差別の価値観の調査を続けてきた同大の安川寿之輔名誉教授(67)が、このほど14年間の結果をまとめました。

 調査は1989年から。時事問題も付け足し、ほぼ同じ質問です。毎年、同教授の授業を受講した100人以上が回答し、総数は約2170人。多い年は519人、昨年は64人、今年は担当講義がなくなったため21人でした。

 男女平等の意識・認識の調査では、「ミスコンテストは女性差別である」と答えたのは、91年8.9%、昨年は7.8%、今年は9.5%。最低は94年の2.3%でした。「家事労働は男女折半の共同でする」と考えているのは、93年35.6%、昨年は60.9%、今年は71.4%。

 「大相撲の『女人禁制』(土俵など)の伝統」を肯定したのは、92年46.9%を最高に、昨年は39.1%、今年は38.1%。最低は97年の23.1%でした。

 戦争の歴史認識では、「アジア太平洋戦争」(15年戦争)の敗戦の日(1945年8月15日)は、毎年6割〜8割の学生が答えられるものの、開戦の日(柳条湖事件、1931年9月18日)は、ほとんどの学生が答えられませんでした。受験に欠かせない三国同盟の国名(日本、ドイツ、イタリア)は、毎年、8割を超える学生が正解している一方、日本がどこの国を侵略したかについては、91年68.7%を最高に昨年は37.5%、今年は42.9%にとどまっています。

 閣僚の靖国神社参拝については、「違憲だから反対」が質問した最初の年の95年6.8%、昨年は14.1%、今年は23.8%。「私人なら構わない」は、95年48.5%、昨年は60.9%、今年は71.4%でした。

 安川教授は、「男女平等の意識・認識は、学校での家庭科の男女共修、男女混合名簿を取り入れたことなどもあり、一定の変化があります。戦争の歴史認識は、どこに迷惑をかけたか、靖国神社とは何かなどの教育が足りない」と指摘しました。


言っちゃお

「憂いあり」だ 東京都多摩市 冨樫勝幸 大学三年生 21歳

 小泉首相は有事法制のことを「備えあれば憂いなし」といいますが、ぼくには「備えあれば憂いあり」にみえます。日本がアメリカの戦争に協力して先制攻撃をすることも否定していないからです。そうではなく、戦争を起こさないためにどうするのかという構えをつくることが大事だと思います。

初めて知った 兵庫県新宮町 女性 保育士 25歳

 五月三日の憲法記念日に有事法制についての学習会に参加して、初めてその中身を知りました。この法案が通ったら、私たちの意見が国に反映されなくなる。自由に意見が言えなくなるなんて怖いです。それに、土地や食糧を強制的に納めざるをえなくなる。

 政府はこの法案を「国民の安全のため」というけど、中身は昔の戦争の時と同じだと思います。

励まされます 石川県金沢市 帯刀裕之 45歳

 五月六日のゆうプレス、読んで良かったです。若者が元気に、楽しそうに平和の活動をしていることを知ると、励まされます。私は、金沢で、気長に楽しくをモットーに平和活動をしている者です。

 投稿募集中。感想や意見、身のまわりのできごと、なんでも教えてください。投稿はメールかはがきでお願いします。

 メールアドレス

 upress@jcp.or.jp

 〒151−8586 東京都渋谷区千駄ケ谷4の26の7 赤旗編集局「ゆうPRESS」係

 次回の「ゆうPRESS」は6月3日(月曜日)の予定です。


国際NGO説明会開く

 青年の国際環境保護NGO、「A SEED JAPAN(ア・シード・ジャパン=ASJ)」は16日、東京・新宿区の同事務所でオリエンテーション(説明会)を行いました。ホームページで知ったという学生ら20人近くが参加し、事務局の説明に熱心に耳を傾けました。

 ASJは山形・新庄市の農家へ米作りに行き、食の安全と遺伝子組み換え食品を考えるチームや、「ゴミゼロナビゲーション」としてロックフェスティバルなどイベント会場のゴミ分別、再資源化を啓発するチームなど、いくつかのチームに分かれて活動しています。ODA(政府開発援助)の使い方や地球温暖化などの問題で政府に政策提言することや、積極的に社会に訴えかけていく活動を重視していることが特徴的です。発足は1991年。全国に670人のメンバーがいます。そのうち7割は学生で、事務局も20代の青年が運営しています。

 ASJの説明をした宮腰義仁さん(23)=大学生=は「ゴミゼロのとりくみなど、自己満足だという批判を受けることもあります。でも、イベントを通して日常から環境問題に関心を持ってもらうことが大切だと思うんです」と話しています。

 ASJホームページ

 http://www.aseed.org

 


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