2002年5月18日(土)「しんぶん赤旗」
中谷元・防衛庁長官は十七日の衆院テロ問題特別委員会で、テロ対策特措法にもとづきインド洋へ派兵されている自衛隊艦船などの修理のため、民間技術者の現地派遣を要請することがあり得ることを明らかにしました。日本共産党の児玉健次議員の質問に答えたもの。
児玉議員は、海上自衛隊が昨年十一月十六日付で関連企業に出した要請文書を提示。文書は、海上自衛隊艦船の派兵にあたって、企業側に(1)「修理態勢の確立 緊急時における連絡網整備(年末年始時を含む。)」、(2)「技師の派遣準備 パスポートの取得等」を要請しています。中谷長官は「防衛庁の作成文書だ」と認めました。
さらに同二十九日に横須賀造修補給所で説明会を開き、防衛庁側から入港予定地にカラチ(パキスタン)やムンバイ(インド)などをあげ、労働ビザは不要、部品・工具は海上自衛隊で準備すると説明をしていたことを指摘、「すでに派遣しているのではないか」と追及しました。
中谷長官は、説明会参加が約二十社で、企業から派遣予定技術者のパスポート番号一覧も一部企業から送られていると認めましたが、実際には「派遣されていない」と答弁。一方で今後の派遣については「お願いすることもあろうかと思う。行くかどうかは相手方(企業)の判断だ」とのべました。
児玉議員は「技術者の中で『戦場出張』といわれ不安が広がっている。自衛隊の海外出動が何をもたらすか、怒りが広がるばかりだ。民間技術者を派遣すべきでない」と批判しました。