2002年5月17日(金)「しんぶん赤旗」
石油ショックや狂乱物価対処のために一九七三年につくられた経済規制の法律を「戦時」に適用――。福田康夫官房長官は十六日、衆院有事法制特別委員会で、武力攻撃事態法案にもとづく国民生活・経済統制について、こうした事例を想定していることを明らかにしました。戦争に国民を強制動員したうえ、国民生活全体を戦時統制下におく危険性を示しています。
「武力攻撃事態法案」は、「武力攻撃事態」に対する「対処措置」として「生活関連物資等の価格安定、配分その他の措置」などをあげ、国民生活・経済の統制を行うことを定めています(第二条六のロ)。
福田長官はこの「その他の措置」として、(1)「国民生活安定緊急措置法」にもとづく生産、輸入等の指示(2)「生活関連物資等の買占め及び売惜しみに対する緊急措置法」にもとづく売り渡しの指示と命令(3)「石油需給適正化法」にもとづく石油の使用制限――を「想定している」と答弁しました。
「石油需給適正化法」は、国民に石油の使用制限を求めることができるとしています。
「国民生活安定緊急措置法」は、物価高騰時に、政府指定の生活物資の生産業者に生産を義務づけ、業者に業務状況などの報告を求めることができます。報告を拒否すれば一年以下の懲役または二十万円以下の罰金です。
「生活関連物資等の買占め及び売惜しみに対する緊急措置法」は、政府指定の生活関連物資を買い占めや売り惜しみをしている業者に政府が売り渡しを指示できるとしています。命令違反者は三年以下の懲役、百万円以下の罰金です。