2002年5月10日(金)「しんぶん赤旗」
リストラ・解雇の攻撃が吹き荒れるなか、全労連に加盟する労働組合や地方組織が切実さを増す要求実現へ労働相談活動にとりくんでいます。
世界最大級のブナ森、白神山地をのぞむ秋田県北の藤里町で活動する建交労(全日本建設交運一般労働組合)白神分会は四月十二日、「ひとりで悩まず相談を」と労働相談会を知らせるビラ千二百枚を地方紙などに折り込んだところ、十数人から相談が寄せられました。
地場の建設会社が経営破たんし、未払い賃金が起こった問題では、二十代から六十代の労働者が相談会に訪れました。
労働者たちは「社長も近所だし、『払うので待ってくれ』というから、待っていたが、待てど暮らせどいっこうにナシのつぶてだ。しかも社長自身が一部従業員を引き連れて、よその会社で働きだした」と訴えました。
分会は同十八日に能代労働基準監督署に申告するとともに、五月二日、未払い賃金と突然の解雇にともなう解雇予告手当を支払うよう会社に要求書を提出しました。九日には集会を開き、団体交渉を申し入れました。
また、別の六十代の労働者は、体の調子がすぐれず相談にきましたが、「振動病じゃないか」と判断し、さっそく病院を紹介。治療を開始し、振動病認定にとりくんでいます。「労働災害とは思わなかった。組合に相談してよかった」と喜ばれています。
分会は、縫製工場を一方的に解雇された労働者が相談を寄せたことをきっかけに一九九九年十一月に結成され、十カ月間たたかい抜いた末、勝利和解しました。
前日本共産党町議で、分会長を引き受けた平野庄司さん(74)は「町内の雇用環境は最悪の状況で『働けるだけありがたいと思え』という風潮が広がっています。相談内容は、賃金未払いや解雇だけでなく、借金、労働災害、健康問題など多岐にわたっています。農村部でも労働組合にたいする強い期待を実感しています」と話しています。