2002年5月9日(木)「しんぶん赤旗」
有効求人倍率が〇・二七倍と全国最悪を記録し失業や倒産が深刻化する青森県で、「解雇された」「有給休暇も取れない」などの切実な要求をくみあげて活動する地域労組「ひだまり」。結成当時十九人だった組合員が、二年後のいま、六倍の百十七人に増えました。
「ひだまり」は、青森県労連(全労連加盟)が常設している労働相談を通じて知り合った労働者たちに加入をよびかけています。一人でも加入でき、パートや派遣などの不安定雇用労働者や失業中の青年もいます。
県労連の労働相談センター所長をしている鶴谷久勝さん(62)は「相談が終われば、組合員でなくなるケースが少なくありませんが、ここはそうじゃないんです」といいます。相談内容は、「解雇・退職強要」(22%)、「賃金・残業代不払い」(17%)の順です。
勤めていた喫茶店での賃金未払い問題で相談し「ひだまり」に加入した女性(46)は「本当に悔しい思いをしましたが、泣き寝入りしないとがんばりました。『ひだまり』は何かあったときに相談できるところ。頼りになります」と語ります。
「この会報がいいんですよ」。弘前市の津軽健生病院のパート労働者でつくる「ひだまり津軽保健生協臨時パート分会」の藤原裕貴子さん(49)=看護師=はいいます。昨年四月、病院で働く四十一人のパート労働者で分会を旗揚げしました。
「ひだまり」の会報は、月一回発行のB5判四ページの機関紙です。
解雇通告や倒産などの困った時に活用できる労働基準法や賃金確保法、雇用保険、労災保険のしくみをわかりやすく解説する「知ってとくするしっ得コーナー」、県内に散らばっている組合員の近況をイラスト付きで紹介する「フェイス&フェイス」、「とっておき情報」などを掲載。組合員と組合員を結ぶ交流の場となっています。
「『しっ得コーナー』で、パートも有休が取れることを知り、昨年の春闘で要求して改善できました」と藤原さん。
事務のパートをしている組合員の今まやさん(25)は、生活費を浮かすために妹と同居中です。
「組合があるから、よその職場よりはやりやすいかなと思います。けれども、同じ仕事をしていて私たちと正職員の人との賃金格差が大きいことが不満です。パート労働者に均等待遇をというのが私の願いです」
昨春闘で、三十円から七十円の時間給引き上げをかちとりましたが、退職のさいに支給される退職慰労金の廃止とセットでの回答でした。分会は十日、全員集会を開き、退職慰労金の廃止と切り離しての賃上げや、再契約のさいの雇用中断をなくすなどを求めていくことにしています。