2002年5月2日(木)「しんぶん赤旗」
「問題なし」が一転「反対」(?)に―小泉首相の靖国神社参拝をめぐる公明党の対応が揺れています。
小泉首相が突然、靖国を参拝したのは、四月二十一日。冬柴鉄三幹事長は福田康夫官房長官に「私的参拝」と確認したとし、「それだったら、何も文句を言われるいわれはありません」(「産経」同二十二日付)とのべていました。神崎武法代表も終戦記念日の八月十五日をはずした参拝は、「周辺諸国の感情に配慮したものと思われる」と理解を示しました。
ところが、中国、韓国など「周辺諸国」が、首相の靖国参拝にいっせいに反発し、批判を強めると大あわて。中国訪問を控えていた神崎代表は四月二十四日の記者会見で、靖国参拝について、「公明党は二つの角度から反対している」と明言、(1)憲法二〇条の政教分離原則との兼ね合い(2)A級戦犯の合祀(ごうし)―をあげました。一方で、首相が八月十五日周辺を避けたのは、「アジアの国民感情に一定の配慮をされたのだろう」と理解を示したのです。
しかし、中国では、予想を超える反発が待っていました。四月二十九日、神崎氏と会談した江沢民国家主席は、「首相の参拝は絶対に許すことはできない」と、強い調子で批判したのです。
これにたいして神崎氏は、「首相が8月15日を避けた『配慮』を説明する一方で、『公明党は首相の参拝には反対』と訴えざるを得なかった」(「朝日」一日付)といいます。
ところが、会談を報道した公明新聞(四月三十日付)は、神崎氏が靖国参拝に「反対」とのべたことは伝えず、「参拝は誠に残念」という発言を紹介しただけでした。
中国向けには「反対」をいうが、国内では「問題なし」か、せいぜい「誠に残念」―マスコミからも「一貫していない」と指摘された公明党の態度の裏には、どんなことがあっても政権を離れるわけにはいかないという、いつもの事情があるようです。(小)