2002年5月1日(水)「しんぶん赤旗」
「ムネオ疑惑」についに捜査のメスが入り、初の逮捕者が出ました。佐々木憲昭議員の「ムネオハウス」(国後島「友好の家」)疑惑追及に端を発した日本共産党の粘り強い調査と国会論戦が、鈴木宗男議員を追いつめ、捜査当局を動かしました。
「鈴木さん、あなたは私たちの友達です」の横断幕――その写真パネルで一躍「ムネオハウス」という言葉が知れわたったのは二月十三日、衆院予算委員会でのことです。
佐々木氏は、国後島の「友好の家」が「北方四島」支援事業の一環として国民の税金でつくられながら、現地では鈴木氏の名前を冠した「ムネオハウス」と呼ばれていることを指摘。鈴木氏が「北方四島」支援事業を受注した企業から六年間で一千万円以上の献金を受け取り、支援事業を私物化していた税金の還流構図を浮き彫りにしました。
小泉純一郎首相も「よく調べていると感心した」と調査を約束せざるを得ませんでした。
鈴木氏は、「ムネオハウス」入札は一般競争入札だったと「潔白」を主張しました。しかし、入札が競争入札の形をとりながら、実質的には鈴木氏の後援企業だけが落札できるようにしていた事実も明らかになります。
二月二十日の鈴木氏への参考人質疑で佐々木氏は、質問直前に入手した外務省の「秘 無期限」の内部文書に基づき、鈴木氏が公正であるべき入札をねじまげ、自分の後援企業が確実に受注できるよう圧力をかけた証拠を白日のもとにさらしました。
日本共産党の木島日出夫議員は翌二十一日の衆院予算委員会で、今回の逮捕につながる決定的な証拠となった「支援委員会」事務局の内部文書を示します。
同文書には、入札公告の十日前に設計コンサルタント会社側と事業を受注する渡辺建設工業、犬飼工務店両社長が鈴木氏の秘書に引き合わされ、その後コンサルタント会社が関連情報を外部に漏らしたとの「わび状」を支援委員会に提出したと書かれていました。
木島氏はこれらの事実から「明らかに入札前から見積もり単価が受注企業に流されていたということではないか」と指摘。二月二十五日の衆院予算委でも入札予定価格と契約金額がまったく同額で、予定価格が事前に漏れた疑いがあるということを明らかにしました。今回の宮野明秘書らの容疑事実は、木島氏らの追及を裏づけています。
「共産党国会だったな」。二〇〇二年度予算案の衆院通過直後、自民党幹部がいいました。日本共産党の一連の追及が今回の逮捕につながったのです。しかし、これはムネオ疑惑の氷山の一角にすぎず、疑惑の全容解明が求められています。
2月13日 衆院予算委
佐々木憲昭議員が「ムネオハウス」の写真パネルを手に、鈴木議員の「北方四島」支援事業の私物化と受注企業からの献金還流のしくみを追及。小泉首相は調査を約束
20日 衆院予算委参考人質疑
佐々木氏が「秘 無期限」の外務省文書を示し、「根室管内に限定してはどうか」と「ムネオハウス」の入札をねじまげた鈴木氏の発言を紹介。鈴木氏は「外務省から説明があった記憶はある」と認める
21日 衆院予算委
木島日出夫議員が新たな「秘 無期限」外務省文書を示し、「ムネオハウス」の入札予定価格を知り得るコンサルタント会社「日本工営」などの社員と、受注した渡辺建設工業、犬飼工務店の社長2人が、入札公告前に釧路市の鈴木事務所で宮野秘書立ち会いのもと会っていたことを暴露。「公正入札妨害罪にあたるのではないか」とただす
22日 衆院予算委
大森猛議員の質問に川口順子外相が、一連の内部文書の存在を認める。小泉首相、川口外相に「10日以内の調査報告」を指示
25日 衆院予算委
木島議員が「ムネオハウス」の1回目の入札が不調に終わった後、随意契約に切り替えて鈴木氏の後援企業に発注したことを明らかにする
3月4日
外務省が調査報告書を出し、「ムネオハウス」などの入札に、鈴木氏が深く関与していたことを認める
8日 参院予算委
筆坂秀世書記局長代行が「ムネオハウス」の入札を競争入札に見せかけ、実質的には1社しか落札できないしくみにゆがめたことを暴露
11日 衆院予算委証人喚問
佐々木憲昭議員の追及に鈴木氏が「ムネオハウス」建設で地元業者を使うよう関与したことを認める
12日 参院予算委
小池晃議員の質問に外務省が「ムネオハウス」の入札参加資格として「根室管内のBランク業者は1社」と鈴木氏に説明に行ったことを認める
15日
鈴木氏、自民党を離党