日本共産党

2002年4月21日(日)「しんぶん赤旗」

どうなってるの?――…

道路4公団民営化


 小泉内閣は「道路事業はいっそう効果的、効率的な執行が重要だ」として、日本道路公団はじめ道路四公団民営化を特殊法人「改革」の目玉にしています。いまその関連法案が国会で審議中です。民営化でどうなるのか、高速道路建設の見直しはすすむのか――。

小泉内閣の方向は

四つの公団に代わる新たな組織について「第三者機関」で具体化を検討するとしています

 道路四公団とは、日本道路公団、首都高速道路公団、阪神高速道路公団、本州四国連絡橋公団をさします。

 国会では「道路関係四公団民営化推進委員会」設置法案が審議中です。これが第三者機関です。首相が任命する委員七人からなります。四公団に代わる「新たな組織とその採算性の確保」について調査審議し、年末までに首相に意見をのべるとしています。

 昨年末の「特殊法人等整理合理化計画」では、日本道路公団には国費を今年度から投入しない、そのかわり公団の借金の償還(返済)期間を五十年を上限にする、首都高速、阪神高速両公団も同様に民営化する、としました。

 本四公団の約四兆円の債務=借金は「国の道路予算、関係自治体の負担で処理する」、道路料金も活用すると明記しました。いま以上に税金を注ぎ込み、通行料金値上げもありうるということです。

道路建設見直しは

ムダだと批判の強いこれまでの道路建設計画を基本的に推進しようとしています

 政府が決めている高速道路整備計画九千三百四十二キロ。このうち、開通していない分が約二千三百キロ。ほとんどが採算の見通しのない計画です。「改革」にあたって、この計画自体をどう見直すかが大問題となってきました。

 高速道路は借金をして建設をすすめ、料金徴収期間を決め、その収入で返済することを基本としています(償還主義)。小泉首相は今回の民営化方針にあたって、四公団がかかえる借金の償還(返済)期間を当初三十年にするといっていたのに、五十年上限にすると決めました。

 「三十年」ならその間の料金収入は借金返済にあてられ、建設資金に回せないというのが国土交通省の試算です。これが「五十年」になったことで年々の借金返済が減少し、その分を新たな道路建設に回すことができるといいます。二十年分余計に、利用者から料金をとりつづけることになります。

 自民党の古賀誠道路調査会長が「五十年償還なら、年間で一兆円の投資ができ、(二千三百キロを)いまのペースで建設がすすめられる」といいました。国交省も残る計画の六割余はつくれると試算しています。

 民営化になれば、国民の財産である道路が民間企業や大手銀行の投資の対象になり、もうけのために使われる恐れがつよまります。

 しかも、自民党道路族の意向をとりいれ、高速道路の個別路線は、国土開発幹線自動車道建設会議(旧国幹審)の議をへて、国土交通大臣が最終的にきめます。これまでと変わらないやり方です。

むだの原因と責任は

図
道路四公団で債務=借金は三十八兆円にものぼります。「公共事業五十兆円、社会保障二十兆円」という大手ゼネコン・大銀行の要求にそった公共投資偏重の歴代自民党政治のつけです

 公共投資のうち道路関係は年々約三割を占めます(グラフ)。このなかで採算を無視した巨額の投資がおこなわれてきました。

 三本もの橋をかけた本州四国連絡橋公団は、料金収入が管理費や利払いの半分しかなく、欠損金は今年度末で一兆円を超えようとしています。日本道路公団が管理する東京湾アクアラインも予想交通量を大きく下回り、毎年累積赤字をふやしています。

 日本道路公団は二十六兆円の債務をかかえています。料金収入で五十年かけて償還するといいますが、予想交通量が一割下がっただけで数兆円が返せなくなるという試算もあります。

「改革」をいうなら

ムダな道路の建設をきっぱりやめ、政・官・業の癒着構造をただすことです

 高速道路建設計画はいったん凍結し、必要性、採算性などを抜本的に見直す必要があります。

 また“高速道路にはカネと票が埋まっている”といわれるほど、道路公団の巨大な利権をめぐって政治家、官僚、企業による汚職・腐敗事件があとを絶ちません。高級官僚、公団幹部が甘い汁を吸う「天下り」先の、公団ファミリー企業も残ります。

 天下りを禁止し、少なくとも公共事業を請け負う業者からの政治献金をただちに禁止することは、腐敗根絶の第一歩です。


図 図
道路豆知識

高速自動車国道(高速道路) 6861キロ
一般国道 5万3684キロ
都道府県道 12万7916キロ
市町村道 97万3837キロ

 


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