2002年4月20日(土)「しんぶん赤旗」
日本共産党の小沢和秋議員が十九日の衆院本会議でおこなった医療改悪法案にたいする質問のポイントを、小泉純一郎首相の答弁とあわせて紹介します。
小沢議員 小泉首相は九七年、厚生大臣の時に健保本人の窓口二割負担を強行した。今回は全国民にさらに大きな犠牲を強いようとしている。何の責任も痛みも感じないのか。
小泉首相 少子高齢化社会をむかえ、いままでのように給付は厚く、負担は軽くというわけにはいかない。国民皆保険制度を揺るぎないものにしていく改革が私の責任だ。
一兆円もの負担増を押しつけながら、国民の「痛み」をなんとも思わない首相の冷たい姿勢が浮きぼりになりました。
小沢 窓口負担を三割に引き上げる影響は八千万人以上の労働者・年金生活者とその家族におよぶ。こういうやり方では病気がひどくなってからしか病院に行けなくなるので、かえって医療費がかさむという結果になるのではないか。
首相 必要な医療が抑制されることはないと考えている。
九七年に二割負担へ引き上げる時も、同じように受診抑制はないと答えましたが、実際には通院をがまんする人が大幅に増えました。まったく反省のないまま、改悪を繰り返すものです。
小沢 七十歳を超える高齢者に対して、一カ月の負担上限を引き上げる。加えて、上限を超える分もいったん窓口で全額支払わせ、三カ月後に返すという償還払いを導入したことは重大。どれほどひどいことか総理にはわからないのか。
首相 高齢者にも応分の負担をお願いすることが必要。低所得者には配慮しており、必要な医療が抑制されることはない。
お年寄りの通院は今、月三千二百円(大病院は五千三百円)が上限です。改悪案はこれを、低所得者でも月八千円に引き上げます。「低所得者に配慮」などというのは、国民をごまかすものです。
小沢 四月から診療報酬の減額を行った。病院の経営困難に拍車をかけ、患者への診療の質の低下にもつながる。診療報酬の再改定を求める医療関係者の声に何と答えるのか。
首相 厳しい改定ではあるものの、医療機関の経営に想定を超えるような深刻な影響が生じるとは考えられず、再改定は考えていない。
「厳しい改定」と認めつつ、「想定を超える」影響はないとあいまいにしようとしています。
平均で2・7%の診療報酬引き下げですが、実際にはこれを大幅に上回る減収が見込まれ、医療機関の経営への影響が深刻です。坂口力厚労相も、十六日の参院厚生労働委員会で、再改定の検討の必要性を認める答弁をしています。
【今年10月実施】
▽70歳以上の患者1割負担を徹底。通院の定額制(1回850円、月4回まで負担)は廃止
▽70歳以上で一定以上の所得(一人暮らしで年収380万円程度以上)の人は2割負担に
▽自己負担限度額を引き上げ(高齢者、現役とも)
▽0〜2歳の患者負担を2割に(現在通院は3割)
【03年4月実施】
▽サラリーマンや退職者本人と家族(入院)の患者負担を引き上げ、3〜69歳はすべて3割負担に
▽ボーナスからも月収と同じ割合で保険料をとる「総報酬制」を導入
▽政府管掌健康保険の保険料率を年収ベースで7.5%から8.2%(労使折半)に引き上げ