2002年4月17日(水)「しんぶん赤旗」
「国内産業は、成熟技術製品を中心とする生産拠点の海外移転が進んでいくことにより、生産、設備投資、雇用の空洞化が一段と加速することが予想される」――内閣府はこのほどまとめた二〇〇一年度の「企業行動に関するアンケート調査」で、日本経済の空洞化について衝撃的な分析をしています。
この調査は、金融や保険を除く上場企業を対象に一月におこなったものです。回答した企業数は千二百二社(回答率50・8%)で、うち製造業は七百十九社。
〇一年度の海外現地生産比率は、製造業全体で12・0%(実績見込み)。前年度より0・9ポイント増えました。五年後の〇六年度には、15・8%に上昇する見通しとなっています。業種別にみると、電気機器、ゴム製品、繊維製品、輸送用機器で海外生産比率が高くなっています。
生産、設備投資、雇用の各分野で海外と国内の増減関係をみると、いずれの項目でも過去三年間および今後三年間とも「海外で増加、国内で減少」と回答した企業の割合がもっとも多くなっています。
生産分野でみると、過去三年間で「海外で増加、国内で減少」したとする企業の割合は45・9%でした。今後三年間の見通しでは、60・0%に達しています。設備投資では、同40・2%が同54・7%、雇用では、同49・1%が同57・1%となっています。いずれも、今後三年間に「海外で増加、国内で減少」と回答する企業が増えているのが特徴。国内製造業が空洞化していく様子が顕著にあらわれています。
激しくなっている外国製品との競争への対抗策(複数回答)では、「競合する製品は海外に工場を建設して生産する」とする製造業は28・1%でした。建設地域は、中国(香港を除く)が圧倒的で81・0%を占めています。
また、海外直接投資先をみると、過去三年間、今後三年間ともに中国がもっとも多く、52・5%(過去三年間)から72・0%(今後三年間)に大きく伸びています。
直接投資の要因をみると中国では、「人件費が安いため」という回答がトップで71・3%。他の地域では「投資先国で需要があるため」が第一位でした。
海外現地生産比率を資本金別にみると、百億円以上の大企業がもっとも多くなっています。空洞化が進む地域の商工会議所幹部からも「大手企業がもうけだけを考え、日本国内に製造業の技術を残す考えを失っている」という批判の声があがっています。