2002年4月14日(日)「しんぶん赤旗」
旧ミドリ十字(現三菱ウェルファーマ)のフィブリノゲン製剤の投与によってC型肝炎に感染した薬害肝炎問題で、安全だとして売り出した加熱製剤で感染し発症した患者が二百人にものぼっていることが、十三日までの本紙取材で明らかになりました。
非加熱製剤による感染が大きな問題となって、同社は加熱製剤を開発。一九八七年六月に発売。それからわずか三カ月後の同年九月に、長野県の総合病院で出産時の止血剤として投与されたフィブリノゲン加熱製剤で女性三人が集団感染していました。このとき、旧ミドリ十字は病院を仲介する形でこの三人の女性に現金六十万円ずつ「見舞金」として支払いました。
同社は、旧厚生省から指示をうけ、八七年四月から八八年五月まで、加熱フィブリノゲン製剤を投与された患者のうち肝炎の症状が現れた症例について、医療機関から聞き取り調査をしました。その結果、非A非B肝炎(C型肝炎)の発症者が二百人いることが分かりました。
同社は、加熱製剤による発症者が多数でていたにもかかわらず、八七年から九三年までに七万八千本を製造。旧厚生省もそれを知りながら使用を認めてきました。
C型肝炎の場合、感染しても症状はすぐにでず、慢性肝炎に進行するほうが多いため、二百人は氷山の一角といえます。
厚生労働省が発表していたC型肝炎発症者三百六十三人のうち、多数をしめる二百人が加熱製剤によるものでした。
三菱ウェルファーマ広報室の話 加熱製剤からも感染が分かり、八八年に病院に返品をお願いした。しかし、産婦人科の医師らから販売を続けてほしいと要請があり、回収はしなかった。「見舞金」は法的責任を認めて支払ったという意味合いではないときいている。