日本共産党

2002年4月10日(水)「しんぶん赤旗」

秘書会社の公共工事「口利き」疑惑

小泉首相が説明する番だ


 本紙連載「還流マネー」(一日付)で報道した、小泉首相秘書会社の公共工事「口利き」疑惑で、小泉首相は「疑惑はないんだから説明のしようがない」と具体的な説明を拒否しています。しかし、首相が説明すべき疑惑はたくさんあります。具体的な資料にもとづいて、その内容を明らかにすると――。

秘書(実弟)が社長
実態はペーパー会社

 「口利き」疑惑を受けている会社は、首相の私設秘書であり、実弟である小泉正也氏が社長をつとめる株式会社「コンステレーション」(神奈川県横須賀市)。他の役員には、現在の首相公設秘書である鍋倉正樹氏、現在の首相秘書官の飯島勲氏が就任していて、まさに小泉議員の秘書会社。小泉内閣成立三カ月後、会社の存在が週刊誌で報道され、突如、解散しています。

 秘書グループが集まった会社の実態はいわゆるペーパーカンパニーでした。

 会社所在地は一九八五年十二月の設立以来、横須賀市日の出町にありますが、ここは小泉正也氏の自宅。専用電話もなく、民間信用調査会社が連絡先として記入している電話番号は「小泉純一郎事務所」につながります。専任従業員もいた気配はありません。

 このペーパーカンパニーが、会社の目的に「経営コンサルタント業務」などを掲げ、信用調査会社の資料でも、九九年二月期から〇一年二月期の三年間で年間900万円から1300万円の収入をあげていました。

 「収入の大半はコンサルタント業というもののなかみは口利き料、仲介料に等しい状況」などと指摘されています。

「工事情報に謝礼」
本紙に証言

 その収入のひとつが横須賀市発注の公共工事にかかわるコンサルタント業務だったことが本紙調査で判明しました。

 この工事は、二〇〇〇年十二月に同市が発注した舟倉ポンプ場沈砂池機械設備工事(5500万円)。

 秘書会社は日立金属とコンサルタント契約をむすび、入札の結果、同社は予定価格の97・3%で落札しました。

 日立金属横浜営業所の担当者は小泉正也氏から工事情報をもらったことにたいし、「十数万円のお礼」をした、と本紙に証言(別項)しました。

 国会議員秘書が、公共工事にかかわる「口利き」で謝礼を受け取ることこそ、いま問題になっている疑惑の構図です。

 自分の秘書が、何のためにこの会社を持ったのか。公共工事でどんな「口利き」をして収入を得たのか――。本紙は、小泉正也氏側に五項目にわたり説明を求める質問をしましたが、「過去のことなのでお答えを差し控えたい」という回答があっただけでした。

 この問題では、「小泉首相はムネオ疑惑や辻元疑惑が出るたびに『本人に説明責任がある』と答えてきただけに、真相を説明する責任があるはずなのだが…」(夕刊フジ)との指摘があります。私設秘書をふくめた「口利き」による利得行為を処罰する法改正が問題になっているなか、首相には自身の問題に答える責任があります。


日立金属横浜営業所 担当者との問答

 ――コンステレーションは知っていますか。

 知っています。二、三年ぐらい前、横須賀市の舟倉ポンプ場という物件で世話になりました。

 ――具体的には?

 情報をいれていただいたりしました。

 ――役所がこういう工事を発注するぞということですか。

 こういう計画があるぞ、おまえもそういう機械をやっているだろう、ということです。お付き合いがあるのでお話をしていたら、教えていただいたのです。私たちは、横須賀市とはあまりお付き合いをしていなかったものですから。私たちが役所にいって確認する前に教えていただきました。役所のガードも堅いですから……。

 ――コンサルタント料は受注金額の3%ぐらいですか。

 そんなたくさんではありません。十数万円ぐらいでした。

 


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