2002年4月7日(日)「しんぶん赤旗」
「口利き疑惑」をめぐり、加藤紘一・元自民党幹事長(衆院山形四区)と鹿野道彦・前民主党副代表(衆院同一区)=いずれも離党=の参考人質疑が八日午後、衆院予算委員会でおこなわれます。加藤氏が集めたカネが政界に還流するなど疑惑が広がる中で、両議員がカネ集めにどう関与したかが焦点になります。
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加藤氏の前事務所代表、佐藤三郎被告は、公共事業の口利き料などの所得約二億七千万円を隠し、九千八百万円余りを脱税した所得税法違反(脱税)の容疑で三月八日逮捕され、同二十九日に起訴されました。
加藤氏は、「監督不行き届きの責任」をとって離党した三月十八日の会見で、「関与はない。いくつかの容疑、疑惑は驚くことばかりで全く知らなかった」と関与を全面否定しています。
しかし、佐藤被告は一九九三年に加藤事務所代表に就任し、加藤氏が代表の資金管理団体「社会計画研究所」(社計研)の会計責任者を兼務する“金庫番”でした。社計研の収入は、佐藤被告の就任前の二億円そこそこから、三億円〜五億円台へと急増しました。
加藤氏本人も、「加藤紘一を総理大臣にする会」の会合で、佐藤被告を「私の分身と思うように」とあいさつしており、同被告と加藤氏は一心同体の関係にあったことは明白です。
加藤氏をめぐっては、集めたカネの中から政界に還流していた実態が明らかになっています。
九八年〜二〇〇〇年の三年間で、社計研などから自民党現職議員だけでも七十四人に「加藤マネー」が流れていました。また、社計研から五年間に九千万円が自宅家賃などとして支払われていたことが判明し、所得税法、政治資金規正法違反の疑いがでています。加藤氏の明確な説明が求められています。
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鹿野氏の元秘書、尾崎光郎被告は、一月十五日に逮捕され、その後、茨城県石岡市、同下妻市、徳島県の公共事業をめぐる汚職事件にかかわる贈賄罪や入札妨害罪で起訴されています。
尾崎被告は、鹿野氏が自民党を離党した九四年に秘書を辞め、コンサルタント会社「業際都市開発研究所」(業際研)を設立。約二十年間つとめた秘書時代の人脈を利用し、公共事業の発注者側に働きかけ、受注した企業から口利き料を受け取っていました。
鹿野氏は、「八年前に退職した人で、その後の行動については関知していない。私は全く関係ない」(一月十五日)と事件との関係を否定しました。しかし、鹿野氏の公設第二秘書と女性事務職員の給与約三千万円を、業際研が四年間肩代わりしていたことや、二〇〇〇年の総選挙で尾崎氏が鹿野氏と一緒に遊説していたことが判明。「関与していない」との弁明に大きな疑問がでています。