2002年4月6日(土)「しんぶん赤旗」
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鈴木宗男衆院議員が日々使用している高級車は、大阪の大手食肉業者・浅田満氏がひきいるハンナングループの関連企業名義だった――。本紙三月十七日付のスクープが反響を呼び、その後の「毎日」「朝日」の報道で、同グループ企業による自動車税肩代わりや、半年間で百数十万円の顧問料の支払いなども明るみに出ました。
いまこの浅田氏と鈴木議員との関係が新たな注目を集めています。
その焦点が昨年末、農水省がBSE(牛海綿状脳症)対策事業として、BSE全頭検査(昨年十月十八日開始)以前に解体された牛肉を国が買い上げる事業にかかわる問題です。
買い上げそのものは必要ですが、実施内容は、国産を示す「と畜証明書」を不要とするなど、不正を許すものでした。
同事業による買い上げ先の県別トップはと蓄頭数一位の東京ではなく、ハンナングループのある大阪府でした。大阪府同和食肉事業協同組合連合会(千百四十五トン)、大阪府食肉事業協同組合連合会(五百七十三トン)の合計は、全国買い上げ量一万三千トンの一割以上を占めています。
本紙は両組織の役員名簿を入手しました。
同和食肉事業協同組合連合会の会長は、ハンナングループの浅田氏でした。食肉事業協同組合連合会でも浅田氏が副会長に就任しています。会長は、前者の専務理事と同一人物でした。
両組織の内情を知る大阪の食肉業者は、こう指摘します。
「大阪の食肉業界では、浅田さんの力が抜きん出ている。そのうえ、政界の有力者だった鈴木議員と親しいのだから他の業者より断然有利や。今回の制度は、国の金を使って好条件で買い上げてくれるうえ、と畜証明書もいらない。実施確定情報がほかより早く入ればいろんな手をうつこともできる」
一方、鈴木議員は、自民党農水族の有力者として買い上げ事業実現に「大活躍」しました。農水省幹部を前に「簡単なことだよ、こんなこと」(昨年十月十七日、自民党BSE対策本部)と、買い上げをせまったのです。その後、農水省は業界団体に買い上げ事業の条件を通知しました。
その鈴木議員に浅田氏側から隠れた献金―。「税金還流」の構造が浮かんできます。
羽曳野市にある浅田氏の自宅は超の字がつく豪邸。ここで、太田房江大阪府知事や自民党府議、府幹部が招かれ、宴会を開いたことも日本共産党府議団の追及で明るみにでました。その太田氏が立った大阪府知事選の応援演説で、鈴木議員は浅田氏を「私の親せきみたいな人」(二〇〇〇年一月二十八日)と公言しました。
両者の関係の背景に何があるのか。今こそメスを入れるときです。(つづく)