日本共産党

2002年4月3日(水)「しんぶん赤旗」

厚労相の農水相擁護発言

責任あいまいにする暴論


 「全部現職の大臣が責任を取らなければならないというのは、なかなか厳しいなという気がする。どれだけ首があっても足りない」

 坂口力厚生労働相は二日の閣議後の記者会見でこう述べ、BSE(狂牛病)問題で辞任要求が高まっている武部勤農水相を擁護しました。BSE問題の最終報告書が、発生防止で後手に回った農水省の対応を「重大な失政」と指弾したのに、この期に及んでその責任をあいまいにしようという暴論です。

 日本でのBSE発生の危険は、九六年四月のWHO(世界保健機関)勧告や一昨年十一月から昨年五月にかけてのEU(欧州連合)の勧告などで、くり返し警告されてきました。しかし、政府は肉骨粉の法的禁止措置をとらず、行政指導にとどめました。この無責任行政は、小泉内閣にも引き継がれ、日本でBSE発生の危険性を指摘したEUからの武部農水相あて書簡を農水省は拒否しました。

 武部農水相は、九六年当時の農水省畜産局長で、WHO勧告の問題に直接かかわった熊沢英昭前事務次官を罷免するどころか、同次官が約八千九百万円にのぼる退職金を受け取って今年一月に退官するまでかばいつづけました。

 日本共産党など野党はBSE発生の真相究明のため、熊沢氏の参考人招致を衆・参予算委員会などでくり返し要求してきましたが、武部農水相や与党は拒否してきたのです。

 BSEの被害額は約三千億円にのぼり、生産者、関連業者、消費者に耐えがたい苦しみを与えています。このことだけでも、武部農水相の責任はきわめて重大です。

 坂口厚労相を送り出している公明党の神崎武法代表は最終報告書を受けて、武部農水相の引責辞任の考えを示しました。しかし、坂口氏が武部農水相の責任なしと発言したこととの食い違いを記者から問われると、「それは大臣個人としての発言。私の言っているのは党の見解」としどろもどろ。ここにも同党の無責任ぶりと党利党略ぶりが現れています。(高柳幸雄記者)

 


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