2002年4月3日(水)「しんぶん赤旗」
政府のBSE(狂牛病)への対応を検証してきたBSE問題調査検討委員会(委員長・高橋正郎女子栄養大学大学院客員教授)は二日、最終報告書をまとめ、武部勤農水相と坂口力厚生労働相に提出しました。報告はBSE発生を防止できなかった農水省の責任を「重大な失政」と指弾。農水省と武部勤農水相の責任はまぬがれません。日本共産党の筆坂秀世書記局長代行は同日、談話を発表。小泉内閣の重大な責任を指摘し、武部農水相の罷免、畜産・酪農家や販売業者・料飲食業者への被害補償、BSE緊急措置法の制定、食品安全行政の強化を求めました。
報告書は、食の安全確保のため、新法制定と新しい行政組織の発足を提言。六カ月以内をめどに政府に具体案をつくるよう求めています。
報告書は、英国で初めてBSEが確認された一九八六年以降の農水省、厚労省の行政対応を検証。WHO(世界保健機関)勧告を受けながら、農水省が九六年に感染源とされる肉骨粉の規制を行政指導にとどめた措置を「重大な失政と言わざるを得ない」と批判。二〇〇一年のEU(欧州連合)の危険度評価の中断を要請したことも「政策判断の間違いだった」とのべ、BSE問題への「危機意識の欠如」とともに、両省の連携不足による縦割り行政や専門家の意見を政策に反映させない弊害などを指摘しました。
農水省の政策決定に「もっとも大きな影響を与えているのが国会議員、とりわけ農林関係議員」と指摘。原案の「政官癒着」の記述が「政と官の関係」に改められましたが、族議員が政策決定をゆがめてきたことを批判しました。
小泉純一郎首相は武部農水相を続投させる意向を示していますが、肉骨粉使用は「みんなの責任」などの農水相の失言問題とも合わせ、同相の辞任を迫る声が広がっています。
坂口力厚生労働相は二日の閣議後の記者会見で、BSE(牛海綿状脳症、狂牛病)問題で、与党内で強まっている武部勤農水相の辞任論について、「全部現職の大臣が責任を取らなければならないというのはなかなか厳しいなという気がする。どれだけ首があっても足りない」と消極的な姿勢を見せました。