日本共産党

2002年4月2日(火)「しんぶん赤旗」

住友電設の「ぜんそく過労死」

遺族側勝訴が確定

名古屋高裁


 ぜんそく患者が死亡したのは業務に原因があるかどうかが争われた住友電設(本社・大阪市)の電気設備技師だった故・鈴木龍雄さん(42)=当時=の「ぜんそく過労死」裁判で、一審判決を支持した名古屋高裁の原告・遺族側勝訴が確定しました。

 期限の三月二十九日までに被告の名古屋東労働基準監督署が上告を断念したため。

 入社後に気管支ぜんそくにかかった龍雄さんは過労が原因で病気が重症化、一九八九年十一月に呼吸不全で死亡しました。原告で妻の美穂さん(49)は、労災と認めなかった名古屋東労働基準監督署長がおこなった遺族補償年金等の不支給処分の取り消しを求めて提訴。名古屋高等裁判所は三月十五日、一審判決を支持し、原告勝訴の判決を言い渡しました。

労災認定判決意味は大きい

 原告弁護団の水野幹男弁護士の話

 ぜんそく患者の過労死で労災認定を認める判決が全国で初めて確定した意味は大きい。健康な人を基準にするのではなく、ぜんそくの持病をもった人が過労で亡くなった場合に、労災認定への道を開いた。(脳・心臓疾患の場合は認定基準を緩和する最高裁判決がでており)今度の判決もそうした流れの中にある。

 ぜんそく患者の場合の認定基準をつくるべきだが、それがないなかで、この判決を盾に争っていくことができる。なお、長い裁判だったが、遺族へ払われる補償金には一円の利息もつかない。この点も正されるべきだ。

早く認めてくれていたら

 鈴木美穂さんの話(愛知県一宮市在住)

 労災申請から丸十二年。もっと早く労災と認めてくれていれば就学援助費も支給されたはずで、長女にも希望の進学をさせてあげられたのに。

 上告期限の夜中の十二時をすぎても労基署からは何の連絡もなく、弁護士さんが深夜に裁判所に出かけていって上告断念を確認してくれました。

 一日の朝に労基署から『速やかに支払いたい』との電話連絡があっただけで、ひとことの謝罪もありません。厚労省側の対応は許すことができません。

 


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