2002年4月2日(火)「しんぶん赤旗」
公共工事、医療、金融―。この分野は、税金が業界に、業界から政治家に金が流れる「還流マネー」の典型です。
小泉首相は、公共工事受注企業の政治献金規制強化を検討すると表明しました。
本気なら、自民党総裁でもある首相が、まず自分自身と自民党で実行したらどうか。「もらわない」と宣言すればできることです。
ポーズだけの「指示」乱発はかえって始末が悪い。「抵抗勢力」がいるとすれば、それは小泉首相自身です。
本紙は政治資金をくわしく検証しました。かくいう首相自身が「還流マネー」にどっぷりとひたっていました。
前出の三つの分野からの献金を「還流マネー」と考えてみると、過去六年間(一九九五年〜二〇〇〇年。以下同)で、ざっと一億千八百万円。大きな額です。(図上)
その内訳は―。
「医・薬」業界がダントツの約六千四百万円。
公共事業を受注している「建設関係」が約四千七百八十万円。
大蔵政務次官なども歴任した分野の「金融」業界が約六百三十万円。
これは報告された企業・団体献金やパーティー券だけ。政治資金管理団体発行の雑誌で集めた広告費名目の献金は不明で、実際にはもっと多い。
「還流マネー」の実例をあげましょう。
社団法人・全国地方銀行協会からのパーティー券計二百四十万円。地銀協には計六千四百億円の公的資金注入を受けた地方銀行六行が加盟しています。そのひとつである横浜銀行の頭取が地銀協会長です。
地銀協の秘書室はいいます。「こちらからパーティー券購入を持ちかけることはない。小泉さんの場合も秘書が話を持ってきました」
首相は地元・神奈川県を中心に、建設関係業界から幅広く献金を集めています。
小泉内閣は今年度予算に、全国「六大架橋」の調査費・五億五千二百万円を計上しました。そのひとつが、東京湾口道路(神奈川県横須賀市―千葉県富津市)。現在ある東京湾横断道路が大赤字で破たんしているのに、もう一本、巨費を投じて橋をかける無謀でムダな計画です。横須賀市は首相の地元。自分が予算をつけたこの計画からも「還流マネー」が生まれます。
厚相を三度務めた首相。「医・薬」業界からの献金が突出しています。二〇〇〇年には、企業・団体献金総額の20%を超えました。(図下)
高薬価維持のため製薬企業が結成した製薬産業政治連盟の四百万円。日本医薬品卸業連合会と日本薬業政治連盟、その関係団体・業者からの計一千八百万円…。
医療制度の改悪で、国民につらい負担をしいながら、その医療保険財政から高利益をあげる業界の献金をもらう――最悪の「還流」ではありませんか。(つづく)