2002年3月30日(土)「しんぶん赤旗」
小泉内閣は二十九日の閣議で「規制改革推進三カ年計画」(二〇〇一〜〇三年度)の改定を決めました。病院への「民間企業経営方式」の導入など、医療、福祉、雇用、教育、農業など暮らし、経済のあらゆる分野で規制の緩和・撤廃をすすめ、大企業を中心に事業拡大・参入を有利にしようとしています。労働者の権利や中小企業などの保護を根本から揺るがす危険があります。
計画は、昨年三月に作成した三カ年計画の改定版。昨年十二月に総合規制改革会議(首相の諮問機関)が提言した「規制改革」の第一次答申を踏まえ、約九百六十項目を盛り込みました。
計画の考え方は、「経済的規制は原則自由、社会的規制は必要最小限との原則」を基本にしています。雇用・労働分野では、原則一年の派遣労働の期間制限をなくし、禁止されている製造業への派遣解禁の検討など不安定雇用を促進する内容です。また、裁量労働制のホワイトカラー層全体への拡大など、「新たな時代の雇用関係を規定する」労働基準法の見直しを提起しています。
医療分野では、「民間企業経営方式」という表現にしたものの、もうけ本位の医療につながる株式会社化への道を探っています。公立保育所の民間委託化、保育所経営への株式会社の参入を促すなど、本来の国や自治体の公的責任を放棄し、民間企業の事業拡大をはかるものです。
大型店出店について地方自治体の規制を抑えるなど、「弱肉強食」をいっそうすすめるものになっています。
病院に民間企業経営方式を導入。診療報酬の包括払い・定額払い制度をひろげる。公的医療保険の対象範囲の見直し。一般小売店での医薬品販売を可能に | |
特養ホームで「ホテルコスト」(家賃・水光熱費)を利用者負担に。公立保育所の民間委託、保育所経営に株式会社が参加 | |
職業紹介を有料に。派遣労働の期間延長・製造業にひろげる。裁量労働制の対象業務をひろげる。有期労働契約を現行3年から5年に延長 | |
国立大学を独立行政法人化し競争原理を入れる。小中学校の選択制をすすめる | |
都市再開発での土地明け渡しで知事の行政代執行を強める | |
大規模店出店での自治体の上乗せ規制を抑える | |
農業経営の株式会社化をすすめる |
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