日本共産党

2002年3月29日(金)「しんぶん赤旗」

加藤疑惑 政治資金を私的流用

自宅家賃が政治活動費?!

収支報告書に記載なし


 加藤紘一・元自民党幹事長が資金管理団体から家賃や生活費などとして九千万円の資金を受け取っていたという政治資金流用疑惑は、政治資金規正法違反の疑いが指摘されています。「一切資産はつくっていない」という加藤氏の言い分は成り立ちません。

 加藤氏の新疑惑は、加藤氏の資金管理団体「社会計画研究会」が、過去五年間で約九千万円にのぼる政治資金を加藤氏の個人口座に振り込み、加藤氏は、このカネで自分が住んでいる東京・港区の高級マンションの家賃や生活費に充当していたというものです。加藤氏側は、家賃(月約百十万円)が政治資金から支払われたことを認めています。

 加藤氏側は、このマンションで、深夜まで地元関係者らと会合が行われ、加藤氏の「自宅兼事務所だ」として、家賃を政治活動費で処理するのは違法ではないと強調しています。しかし、同マンションは、加藤氏の居住地となっており、基本的に住居として使われていたことは間違いありません。

 加藤氏側は、家賃を政治活動費として支出することについて「当時の自治省(現総務省)に相談し、了解を受けている」とのべています。しかし、総務省は、「当時のことは確認できない」といいます。

 政治資金は「民主政治の健全な発達を希求して拠出される国民の浄財」(政治資金規正法)です。政治活動を支えるためであるからこそ、政治献金や政治活動には課税上の優遇措置も与えられています。加藤氏の疑惑は、政治活動にあてられるべき資金を私的に流用していた重大問題です。

 「社計研」が、加藤氏の家賃や生活費をまかなうために、収支報告をごまかしたという疑惑も指摘されています。政治資金規正法は、政治活動費について五万円以上の支出は明細を記入することを義務付けています。しかし、「社計研」の収支報告書には、加藤氏への資金振り込みの記載はいっさいありません。

 これは、政治資金規正法の虚偽記載の疑いがあります。総務省によれば、虚偽の記載をした者には、五年以下の禁固または百万円以下の罰金が科せられます。また、加藤氏自身が虚偽記載をしていなくても、会計責任者の選任や監督にあたり、「相当の注意を怠ったとき」(第二十五条二項)は、五十万円以下の罰金が科されます。

 加藤氏は、自民党離党会見で、「社計研」の会計責任者をしていた佐藤三郎容疑者(巨額脱税で逮捕)の口利き疑惑や資金集めについて、「関与はない」と全面否定してきました。

 ところが、加藤氏自身が、佐藤容疑者が集めたカネで私的便宜をはかってもらっていた疑惑がでた以上、政治資金の運用はすべて佐藤容疑者まかせだったという言い分は成り立ちません。

 もともと、加藤氏と佐藤容疑者は一心同体の関係。これまでの加藤氏の言い分が通用しなくなった以上、早期の証人喚問による真相解明と加藤氏の責任の明確化が求められています。

 「出処進退は本人が決めること」(小泉純一郎首相、二十八日)という与党側の疑惑隠しも、もはや通用しません。(小林俊哉記者)

 


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