日本共産党

2002年3月28日(木)「しんぶん赤旗」

加藤氏元秘書関与の道路管理会社

公団が出資企業紹介


 自民党を離党した加藤紘一元幹事長の元事務所代表、佐藤三郎容疑者=脱税容疑で逮捕=が設立に深く関与した高速道路維持管理会社「エヌ・エッチ・エス」(山形県鶴岡市)が、日本道路公団側の協力で設立されていたことがわかりました。同社は、通常十年間の実績がなければ入札参加できないのに、設立後わずか八カ月で山形自動車道鶴岡管内道路保全工事を落札し、その経過に疑惑がもたれていますが、公団側にも重大な疑いが浮上しました。


大森議員追及

国交相も「おかしい」

 エヌ社は、十社が四千五百万円を出資して二〇〇〇年八月に設立されました。

 出資企業のうち、七社は県内企業。今月八日に逮捕された平尾彰容疑者が専務を務める平尾工務店など山形県庄内地方の六社と内陸地方の一社です。さらに、山形県周辺の県外道路維持管理会社三社が出資しました。

 設立にあたっては、県内の出資企業七社から佐藤容疑者に会社設立のとりまとめの謝礼などと見られる一億二千万円の資金が渡ったとされます。また、県外企業三社は道路公団OBを多数迎え入れている「公団ファミリー会社」とも呼ばれる関連企業です。

 当時、公団工事をめぐる不正のために、入札制度の改善を迫られていた公団側は、それまでの指名競争入札から公募型指名入札へと切り替えをはかっていました。

 ある公団関係者は「多数の企業が参入する公募型では、それまで独占的に受注してきた枠組みが脅かされるため、危機感をもったOB企業側と、公団工事の受注をめざす県内企業とで利害が一致した。佐藤容疑者は、公団側の天下りの受け皿を確保しつつ、公団発注工事の安定受注を狙ったのではないか」と話します。

 二十六日の衆院決算行政委員会で扇国土交通相は、日本共産党の大森猛議員の質問に答え、エヌ社の設立にさいし、日本道路公団が佐藤容疑者の求めに応じて三社を紹介していたことを明らかにしました。

 扇国交相によると、佐藤容疑者は二〇〇〇年春ごろ、公団に保全工事の実績がありノウハウを持つ会社を紹介してほしい、と依頼、公団が三社の名前を教えていた、といいます。

 これについて、扇国交相は、「そんなことを軽軽に(佐藤容疑者に)伝えるのはおかしい」と批判。また、実績のないエヌ社を入札参加させた問題でも、「実績があったとは認め得ないのではないか」とのべ、公団の対応に疑問を示しました。

 県内七社のうち庄内地方六社は「加藤紘一を総理にする会」のメンバー。七社からは、加藤氏の資金管理団体などに九六年からの五年間で、八千八百七万円もの政治献金が渡されています。

 


もどる

機能しない場合は、ブラウザの「戻る」ボタンを利用してください。


著作権:日本共産党中央委員会 
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 Mail:info@jcp.or.jp