日本共産党

2002年3月24日(日)「しんぶん赤旗」

大リストラに“負けてたまるか”

全国各地で立ち向かう

日本共産党のよびかけから半年


 大規模なリストラ・人減らしと史上最悪の失業率にたいし、日本共産党は雇用を守れとリストラ反対の国民的反撃をよびかけました。職場から勇気をもって労働者が立ちあがり、地域・自治体からは地域経済を守る共同が前進しました。半年間のたたかいとその成果を紹介します。

国民的運動へ

 日本共産党中央委員会は昨年九月十日、「大規模なリストラに反対し、雇用を守る国民的たたかいをよびかけます」を発表しました。「リストラ反対・雇用を守る闘争本部」(本部長・市田忠義書記局長)をただちに設置、職場、地域、国会でのたたかいとともに雇用を守る国民的世論づくりに取り組みました。

 「よびかけ」は、空前の大リストラに反対し雇用を守ることは国民的意義をもつとして、「政府と大企業が、その責任をはたすよう、全国の職場から、自治体から、声をあげ、たたかいの輪をひろげよう」とよびかけました。

“企業は社会的責任はたせ”

小泉首相もみとめる

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 いまリストラ・人減らしをすすめる大企業は、「人件費をはじめとする固定費を削らないと厳しさを増す国際競争はとても勝ち抜けない」(富士通・秋草直之社長)といい、「リストラやむなし」と口をそろえます。小泉首相も「大企業としても、生き残りのために必死だ」(二〇〇一年十一月十二日衆院予算委員会)とリストラを当然視しました。

 これにたいし日本共産党は、「大企業は社会的責任を果たせ」と真っ向から主張して、横暴なリストラとのたたかいをよびかけてきました。

 これをうけ全国各地で商工会議所や商工会、各種経済団体、地方連合などと懇談、「企業の社会的責任」論に立場をこえた共感が広がっています。

 企業は株主だけでなく雇用、取引業者、地域住民などにたいする社会的責任を果たすべきだとするEUの政策文書も紹介した志位和夫委員長の質問に、小泉首相も「地域経済への影響に配慮し、従業員の雇用の安定に最大限努力すべきことは、企業の社会的責任」と答えました(二月七日、衆院本会議)。

 「雇用を守ることは企業と経営者の社会的責任」と明記して全会一致で可決した静岡県議会の意見書など、全国の地方議会での意見書決議も相次ぎ、世論は大きく動いています。

“職場にルールを”合言葉に

転籍撤回、ただ働き是正

 巨大な内部留保をかかえる大企業は、大規模リストラをすすめるため、法的な根拠もない希望退職・転籍を強要しています。

 これにたいし、「職場にルールを」とのよびかけが労働者を励まし、「負けてたまるか」とたたかいが全国で広がりました。半年前には考えられなかった前進です。

 住友金属和歌山製鉄所では、九千人の出向者全員を退職させ八割から六割の賃金で出向先に転籍する攻撃をかけてきました。職場の日本共産党委員会は、国会議員団の国会追及と連携し、会社側を追い詰めました。一九八〇年の下関商業高校退職勧奨事件での最高裁判例「限度を超えた退職勧奨は違法」も活用して反撃し、会社が謝罪、転籍を撤回しました。

 京都の繊維・OA機器メーカー村田機械でも、「行くか、辞めるか」と脅され、転籍を強要されていた労働者が労働局に勇気をふるって申告しました。党職場支部は「退職・転籍強要をやめさせる四カ条」をつくって職場新聞で反撃。転籍と愛知・犬山への配転をストップし、京都の職場で仕事を確保させました。

 職場でまんえんする違法なサービス残業(ただ働き)に全国で大がかりなメスが入っています。兵庫県の三菱重工高砂製作所では、夫の身を案じた妻のメールをきっかけにサービス残業の是正へ第一歩を踏み出しました。党支部が出門時刻を調べて申告。労基署が立ち入り調査しました。

 三菱電機伊丹製作所には、十二人の労基署員が抜き打ち調査を実施。従業員の始終業時間の正確な記録をつけるよう指導しました。トヨタ、日立など大企業でも相次いで是正の動きが始まっています。職場の運動と日本共産党がくり返し求めて実現した昨年四月の厚労省“サービス残業根絶通達”が「働くルールづくり」を前進させています。

 労働者を大規模に一律にリストラする大企業のやり方は労働者の結束を強めます。NTTの職場で労組の違いを超えて「ぐちる会」「会社選択を考える会」を結成し、リストラに対し自らの要求実現の運動が広がっています。職場からの新しい運動の発展です。

新たな攻撃許さない

賃下げ逆提案に怒り

 二〇〇二年春闘で、大企業は大量人減らしを推進する一方で、賃下げや労働条件を法定水準に切り下げる逆提案を行い、リストラ攻撃を新たな段階にすすめています。

 日立、東芝、松下…。日本を代表する電機大企業が相次いで定期昇給の凍結や賃金カットを逆提案しており、電機連合傘下の十六大手組合のうち約半数に達しています。

 これら電機大企業は、リストラ費用を前倒しして計上。“あか”を落としてさっぱりする「ビッグ・バス(大きな風呂)方式」で「赤字」を最大限ふくらませてみせるごまかしの手法で「来期に『V字回復』をめざす」(「日経」)としています。

 職場では、逆提案に怒りが急速に高まっています。連合の笹森清会長も「間をおかずに提案してくるということは、春闘を否定するものだ」と批判しています。

 電機連合加盟の労働組合は、組合員からの意見や質問など生の声を機関紙に掲載したり、連続的に職場集会を開くところもあり、大企業の横暴に議論が集中しています。

 日本共産党の職場支部は、長年かけて前進させてきた先輩たちの汗の結晶、職場の憲法である労働協約への攻撃に職場新聞で反撃。「会社は労組を無視するな、労働協約を守れ」と労働組合運動を職場から強めようとよびかけています。


「赤字だから」は通用しない

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 会社は「赤字だから人減らし・賃下げだ」と主張しますが、実際は人減らしに使う退職割増金や工場・営業所の閉鎖費用などリストラにかかる経費を前倒しして計上しています。電機大手六社のリストラ費用は一兆六千八百億円の巨額に達し、本業での営業損益の倍以上になっています。「企業危機」とは無縁です。

 一方、六社の人減らし合計は、国内九万三千七百人、海外子会社ふくめると、じつに十二万三千人におよびます。




電機大手の定昇凍結などの動き
松下電器半年間の定昇凍結を提案
日立製作所1年間の緊急避難措置として定昇分を差し引き、実質3%の賃下げを提案
富 士 通定昇凍結を検討
東   芝半年間の定昇凍結を提案
N E C半年間の定昇凍結を提案
富士電機定昇凍結を検討
沖電気工業定昇凍結を提案
安川電機既に10%の賃下げ提案、継続協議に
明 電 舎定昇凍結を検討


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地域経済守る共同広がる

首長が工場閉鎖に抗議

 大企業の身勝手なリストラや工場閉鎖、政府の信組・信金つぶしから地域の雇用や経済を守るために、自治体の首長や議会や、保守層も含めて共同が広がっています。

 NECが工場閉鎖する新潟県柏崎市では、市長が商工会議所会頭とともにNEC本社を訪問し、「NEC新潟と柏崎市とのかかわりを考えると、憤りを感じる」と抗議。

 松下電器の子会社・松下寿電子が工場閉鎖する高知県須崎市の市長は「何の相談もないまま閉鎖が決められてしまった」と怒りました。市議会も「地域経済にとっても多大の影響を及ぼすものとして、極めて憂慮される」との決議を全会一致で採択。市長と市議会議長が松下電器と松下寿電子にたいし工場跡地で新規事業を展開することなどを要請しました。

 大手電機・精密メーカーの三協精機(本社・長野県下諏訪町)が県内三工場と二つの子会社を閉鎖すると昨年発表するなど、産業空洞化が深刻な長野県南信地方では、二月十七日に長野県労連、日本共産党も加わる実行委員会が主催し「雇用と地域経済を守るシンポジウム」を開き、連合系労組や業者など幅広い二百二十人が集まりました。

 こうした背景に、八〇年代の円高を理由にした海外への生産移転とも異なり、高付加価値の部品や素材まで海外生産が進行するという、ものづくりそのものの空洞化への危機感が高まっていることがあります。

 政府の信組・信金つぶしにたいし各地で連鎖倒産による地域経済の衰退を招かないよう運動。東京・大田区では、融資を受けていた中小業者など90%を受け皿信組に引き継がせました。

国会論戦54回

具体例告発し数々の成果

 日本共産党国会議員団はこの半年間、「リストラ・不況対策委員会」を設置して、職場のたたかいと結び、行政責任を果たさせるなど、精力的に活動してきました。

 国会論戦では、志位和夫委員長を先頭に衆参の各議員が五十四回にわたって質問。住友金属の九千人の退職・転籍強要問題の質問では、「限度を超えた退職勧奨は違法」と厚生労働省に答弁させ、会社が転籍を撤回、強要を謝罪するなど貴重な成果をあげました。

 NTTの十一万人大リストラのたたかいでは、転籍条件をあいまいにしたまま、多くの労働者に事実上の退職願いを出させた問題を告発。「だまし討ち」であり、「退職意思表示は無効だ」と主張し、労働者のたたかいを励ましています。

 雇用創出につながるサービス残業(ただ働き)の是正をめざし、日立製作所の悪質な実態を告発して「申告や情報提供があったら監督指導をおこなう」と厚労省に約束させたのをはじめ、労働基準監督署の指導を推進。質問主意書を提出し、家族の訴えでも「監督指導を実施する」と政府に答弁させています。

 大企業による無法な単価切り下げなどから中小、下請け企業を守らせるよう政府の指導強化を要求。地域経済、労働債権問題など多岐にわたって職場・地域の声を国会に届け、たたかいを励ましています。


運動の前進へ

「しんぶん赤旗」次々報道

 「しんぶん赤旗」は昨年十一月、シリーズ「負けてたまるか〜リストラの職場で」をスタートさせました。さまざまな労働者保護法をふみやぶる無法・違法リストラやサービス残業の実態に迫り、判例や通達などのルールを活用、公的機関にも訴えて、がんばれば攻撃をはねかえせる、大企業に社会的責任を果たさせようと発信しています。

 一般新聞が大企業のリストラを容認するのと比べ、「退職を拒めば『ごみ拾い』」(松下電器)、「話が違うぞ。遠隔地転勤強要」(三菱製鋼)と労働者の雇用と権利を守る報道を貫き、「サービス残業是正 労基署も本気」と運動の前進をはかってきました。


30日に東京で 全国交流集会

 「リストラ反対、雇用と地域経済を守る全国交流集会」が30日(午前11時)、東京・新宿区の日本青年館で開かれます。全労連がよびかけ、自由法曹団、日本共産党、全商連、新日本婦人の会で実行委員会をつくり、開催を決めました。

 集会は、電機やNTTなどの大企業による無法なリストラに職場から反撃し、地域経済を守る運動をいっそう盛り上げ、全国的な大きな流れにしていこうととりくまれます。運動をすすめている組合役員や日本共産党員はもちろん、「リストラを受けている労働者や家族の人たちにも気軽に参加してもらえる元気がでる集会に」と実行委は準備をすすめています。

 


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