日本共産党

2002年3月18日(月)「しんぶん赤旗」

負けてたまるか

リストラの職場で

電機労働者がネギこん包

出向や“隔離”で転籍を強要 沖電気

賃下げ、労働条件切り下げ…

“働けない”と立ち上がる動き


 従業員の一割、二千二百人の人員削減を柱にした経営計画をすすめる通信機器のしにせ、沖電気工業(東京都港区)は、ベテラン労働者に本業とはまったく関係ないネギのこん包をやらせたり、賃金や労働条件が大幅にダウンする外注子会社への転籍を強要。職場に怒りが広がっています。(林秀洋・埼玉県記者、名越正治記者)

 沖電気は、一九九八年から二〇〇〇年末までの「フェニックス21」計画で、四千人の人減らし強行に続いて、「フェニックス21 飛翔(ひしょう)」と名づけた現在のリストラ計画を推進しています。解雇や転籍に応じない労働者には、TST(テクニカル・サポート・チーム)と呼ばれる組をつくって工場内の一角に隔離。出向先を次から次へとかえて、“たらい回し”しています。

 出向先は「あっちこっちで稼いでこい」とばかりに同業種の電機や自動車の工場から食品会社、青果市場と何でもあり。五十五歳前後の労働者に「ネギの箱詰め」や「八百屋でのこん包作業」を強制しています。

10畳の部屋に5〜6人が…

 埼玉県北部の本庄市にある本庄工場では、九八年からTSTを設置し、労働者を十畳ほどの部屋に五〜六人を押し込め、一日中パソコンの研修をさせてきました。

 プリント基板に電子部品を組み込む仕事をしていた佐藤辰美さん(49)もTSTにほうり込まれた一人です。パソコンを使って自習をする毎日。それが一段落すると、今度はハンダ付けの“勉強”です。職場には戻さず、TSTの部屋のなかで作業を強いられました。佐藤さん以外の労働者は全員、泣く泣く他の別会社へ出向していきました。

 「出向先では、慣れない現場できつい作業をやらされ、『沖はまだましだ』という意識を植え付けられます。また、ネギのこん包などの仕事を請け負い、工場に機械を持ち込んで出荷している。嫌がらせに『もう耐えられない』と辞めていった人もいます」

 佐藤さんはその後、環境保全部への移動を命じられ、「リサイクル」と称して金融機関が使用していたATM(現金自動預け払い機)の解体作業をやらされます。

 「『TSTに行きたいか』という会社の脅しが怖くて、労働者は仕方なくいいなりになってしまう。我慢に我慢を重ねている」と佐藤さん。

“外注化”して120人に移れと

 しかし沖電気は二月、組み立てラインを丸ごとパートナー会社に外注化すると発表しました。

 パートナー会社は、TSTのリーダーをしていた管理職が、資本金一千万円のうち90%を出資(残る10%は沖電気)し、「社長」に就任。沖電気はこのパートナー会社に百二十人を転籍させようとしています。工場内に「本社」を置き、年内は沖電気からの仕事があるというものの、その後は不明です。

 賃金は平均して四〜五万円ダウンし、多い人は十万円も賃下げになるといいます。時間外・休日勤務の割増率は法定基準に引き下げるなど、労働条件を切り下げることも明らかにしています。

 「こんな条件では働けない」「私らの将来はどうなるんだ」と職場に不安が渦巻いています。

職場新聞に激励や催促

 かつて指名解雇を撤回させ、職場復帰した労働者らも参加する「沖電気の職場を明るくする会」は、不安がいっぱいの職場の切実な要求をくみあげようと月刊の職場新聞「あすなろ」をほぼ週一回発行に増やし、門前や対話で活用しています。

 労働者が両手を重ねたポーズで「きょうはないのか」と催促にきたり、「君らがもっとバンバンやってくれ」と激励されることもしばしばです。

 職場に変化が生まれています。同工場の労働者有志が沖電気工業労働組合(電機連合加盟)に連名で質問状を提出しました。初めてのことです。

 内容は(1)退職金・労働日数・給料・時間外割増など減額はひどすぎるのでなんとかしてほしい(2)即転籍というが、ほかの子会社のように出向期間をおいてほしい(3)パートナー会社の経営は将来にわたって沖電気の責任を明確にする(4)仕事がないと退職や転籍を強要するのでなく、本人の意思を尊重し仕事を確保させる―など十項目を要求しています。

 


もどる

機能しない場合は、ブラウザの「戻る」ボタンを利用してください。


著作権:日本共産党中央委員会 
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 Mail:info@jcp.or.jp