日本共産党

2002年3月11日(月)「しんぶん赤旗」

負けてたまるか リストラの職場で

警察に捕まらないことなら何でもやる NTT

子会社の業務内容

「約束違う、転籍撤回」


 「警察に捕まらないことなら、何でもやる」―。十一万人リストラをすすめるNTTが、各種業務を委託する外注子会社。その業務内容の一端が、現場の労働者の証言や法人登記で明らかになりました。「約束が違う」「子会社への転籍を選んだが撤回する」との声があがっています。(原田浩一朗記者)

 NTTは、今回の大リストラで、五十歳以上の労働者(約五万五千人)にたいし、基本賃金の三割ダウンの受け入れと外注子会社への転籍を迫りました。そのさい、現在の仕事を現在の場所(または希望する都道府県)で続けられるかのように説明してきました。

業務にびっくり

 福岡県で設備関係の仕事をしている五十代の労働者は「会社の説明を信じて、今の仕事が続けられるのであれば、と涙をのんで子会社への転籍に応じた」といいます。

 ところが、課長に業務の話を聞いてびっくり。まったく別の業務に配属されるというのです。

 「話が違うじゃないか」と詰め寄るAさんに、課長は「佐賀や長崎から人が福岡にくる。その人たちに席を空けないといけない」と答えました。

 「そんなことがわかっていたら新会社にいかなかった。退職・再雇用に応じた『雇用形態選択通知書』を撤回する」とAさんは憤ります。

ボーナス心配

 病弱な母親の看護のために、広域配転のない外注子会社への転籍にやむなく応じた五十三歳の労働者は、外注子会社が最初から赤字になることを知って、ボーナスのことを一番心配しています。

 どのように支給されるかはいまだに明らかにされていないからです。

 「住宅ローンが残っています。賃金は三割カットなので、ボーナスが頼りでした。外注子会社が赤字だからと、ボーナスが三割以上減らされたり、まったく支給されない可能性だってあるのではないか」と話します。

 福岡市内のNTT西日本の労働者は一月下旬、会議室や近くのホテルに職場単位に集められ、外注子会社の運営について説明をうけました。

 説明担当の管理者は、営業系、設備系、共通系(総務・人事・経理など)新会社について説明し、「いままでの仕事ができると思ったら大間違い」とのべました。

「墓地の清掃」

 営業系子会社について、現状では赤字になるとして、人員削減や業務の拡大が必要だと強調。通信業務とは関係のない「墓地の清掃」「弁当の宅配」など十二の案を示し、「警察に捕まらないことならなんでもやる」「フーゾク以外はなんでもやる」といいました。

 実際、新会社の「エヌ・ティ・ティ静岡設備株式会社」の法人登記によると、事業目的として二十項目をあげているうち、電気通信事業に直接かかわるのは七つだけ。塗装工事、土木工事、とび、労働者派遣業、測量業、古物売買業といった業務が並んでいます。

だまし討ちだ

 「NTTのやり方は労働者へのだまし討ちだ」と通信労組西日本地方本部執行委員の松原光生さん(57)。「通信事業に長年献身してきた労働者が嫌になって退職していくのを待つための子会社か、といいたくなります。こんな詐欺的な方法でとった転籍の“意思表示”は無効です。外注子会社の情報をすべて公開したうえで、あらためて『会社選択』をとり直すべきです」と語ります。

 「これから、外注子会社の配属業務内容や勤務場所が示されれば、『約束が違う』と怒る労働者が続出するでしょう。こうした労働者の切実な要求をとりあげ、NTTに社会的責任を果たさせるよう迫っていく。また、NTTに残る選択をした労働者への仕事の取り上げや遠隔地への配転などと嫌がらせを許さない運動をつよめていきたい」

“会社は何を考えている” 労働者が批判

 NTT西日本福岡支店では、社員にたいして地域会社の業容拡大メニューのアイデア募集をよびかけました。

 例として、「二十四時間保育園」のアイデアが紹介されています。昼間一時間千円、夜間二千円の料金で、十二人を配置すれば収支がトントンになるとしています。

 労働者たちは「子どもたちの安全や権利をどう考えているのか」「五月から業務を始めるのに、思いつきみたいな事業がうまくいくわけがない」と批判しています。

 


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