2002年3月9日(土)「しんぶん赤旗」
三菱重工名古屋航空宇宙システム製作所(名古屋市港区)のサービス(ただ働き)・長時間労働を労働者有志が独自に調査して労働基準監督署に申告、是正への動きが続いています。(愛知県・板橋幸男記者)
同製作所の技術部門などでは、始業と終業時間を労働者が一定の範囲で決めることができるフレックスタイム制をとっています。労働時間管理はコンピューターによる自己申告制。「これがサービス・長時間労働の温床になっている」と指摘されてきました。
労働者有志が調査にもとづいて労基署に訴えて以後、「始・終業時間を毎日上司に聞かれるようになった」「十二月分の休日出勤の時間と作業内容を聞かれた」などの変化がおこっています。
労働者有志が調査したのは、昨年十二月十二日と十五日。大江工場技術部の人たちの入出門状況を調べました。
十二日は水曜日で、会社が「オール定時日」として定時退社を奨励している日です。定時は午後五時なのに、午後五時半から午後十時二十分までに退社する人が約千二百人もいました。
十五日は土曜日で休日出勤に当たる日でした。午前中に技術部に入門した人が、確認できただけで百人余もいました。
これをもとに、名古屋南労基署に、休日出勤時に記録している入出門記録と労働時間記録を照合すればサービス労働の状況がわかるはずだと是正指導を求めました。
同署は、ことし一月二十五日に同製作所に立ち入り調査。十二月十五日の出勤者のうち三十五人が労働時間を申告していないことがわかりました。
労働者有志の照会にたいし、労基署側は、賃金の支払いを定めた労基法二四条違反として勧告書を出したこと、そのほかにも十二月の休日出勤について同様な問題のあるおそれがあるとして、会社に調査・是正、その結果の報告を求めたことを明らかにしました。
さらに、「指導票」で、厚生労働省通達にもとづき、適正な時間管理をするよう指示したと回答しました。
七日朝、こうした動きを伝える職場新聞「風切るつばさ」を配布した同紙編集委員の加藤克之さん(60)は「私たちのとりくみが問題の解決に少しは役に立っていると思います。しかし、本当にサービス・長時間労働をなくすには、始・終業時刻のきちんとした記録のシステムをつくることなどが必要です。サービス・長時間労働を認めない職場の雰囲気をつくっていくことも大切です」と話しました。
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