日本共産党

2002年3月7日(木)「しんぶん赤旗」

論戦ハイライト

ムネオ疑惑 こんどは防衛庁 佐々木氏の質問

局長が地元秘書に平身低頭

ごみ箱からトイレットペーパーまで“ご説明”


 鈴木宗男議員の行政介入、異常な関係は防衛庁にまでおよんでいた―。六日の衆院予算委員会での佐々木憲昭議員の追及は、まさに“省庁総汚染”の可能性をにじませました。やりとりのハイライトを紹介すると――


写真

空中で砲弾がさく裂する米軍の夜間実弾砲撃演習=98年9月、北海道・矢臼別演習場

 佐々木憲昭議員 配布した資料は、平成十年、一九九八年九月二日付の鈴木宗男事務所でのやりとりの記録です。札幌防衛施設局長が、鈴木議員の地元秘書に説明をしたものです。もう一つの資料に(案)というのがあります。これは、まったく同じ日に、防衛施設庁の本庁から、鈴木議員に説明した内容です。なにが書かれているか。

 まず局長が米海兵隊実弾射撃訓練の現地対策本部の説明をやって、鈴木宗男議員の現地秘書の宮野秘書が「現地にはどれ位の人数が入っているのか」。局長は「90人程度である」。そこで「局職員の宿泊施設を別紙2で説明」をした。五つのホテルがあって、ここに宿泊をすると。宮野秘書は、「わかりました」。

異常な関係に場内から笑い

 局長はさらに「現地調達の内容を別紙3で説明」をしたと。「地元で調達できるものは地元で調達している」と。現地の調達関係一覧表です。仮設トイレ、燃料、ゴミ箱、トイレットペーパー。ありとあらゆる細かなことまで、書いてありまして、「数量」「業者名」「所在地」「連絡先」。こういうものが、書かれている。

 しかも、ご丁寧に最後のところに、「今ご説明した内容は本日15:30に施設庁本庁から鈴木副長官にご説明することになっております」と。その説明が、さきほど(案)というもので示されているものです。つまり防衛庁は、演習の宿泊、あるいは現地調達についての具体的な説明を、現地の秘書ならびに本庁から官房副長官に説明をおこなっている、こういう文書です。

 異様なのは、札幌施設局長がみずから鈴木宗男議員の地元にいって、地元秘書のところに平身低頭で説明にいっていることです。防衛庁というのは、演習が行われるたびに、宿泊ホテルや発注の内容について、関係議員にこういう説明をやるんですか。(場内笑い。「外務省だけじゃないじゃないか、しっかりしろ」とやじ)

 中谷元・防衛庁長官 調達にあたって、地元事情に精通している地元実態の情報を参考にしつつ、業者の選定等をおこない、契約をしているわけです。(場内騒然。「答えてない」とヤジ)

 佐々木 質問に答えていないではないか。いちいち説明にいくのかと聞いている。

 防衛庁長官 通常はやらないと思う。

 佐々木 つまり異常なことをやっていたということです。

 札幌施設局長は、ホテルの説明だけでは不十分と思ったのか、ゴミ箱やトイレットペーパーについてまで、どの会社に発注するのか、どの業者に発注するか、こういうことまで説明している。説明に対して宮野秘書は「これらは分かっています。業者は知っている」と答えている。つまり全部関係する業者だということです。

 (注)として、「ホテル及び調達協力の説明に対して、注文や意見は秘書からは全くなかった」と書いている。全部知っている業者だから、とくに意見はない、これも重大で、注文や意見があれば聞きましょうという姿勢がきわめてはっきり出ているではないですか。

 総理に聞きます。鈴木宗男議員が個別業者の選定にこれほど深く直接かかわっている証拠はないのではないですか。

本人に聞けと小泉首相答弁

 小泉純一郎首相 いずれ証人喚問が行われ、そのとき本人に聞いてほしい。

 佐々木 本庁から鈴木宗男副長官に説明に行ったのは、「本日お伺いしました用件は、昨日、地引首席と先生の処にお伺いしました際、地元でのホテルの話がありましたので、我々も詳しく承知していなかったため、調べて参りました。また、その他の物品の調達についても状況をお話するためにお伺いに参りました」と説明をしています。

 つまり、鈴木さんがその前の日に、「ホテルはどうなっているんだ」「どこに宿泊するんだ」といわれたので、自らアクションを起こしているわけです。個別案件についてはっきりと鈴木宗男さんからのアクションがあった。きわめて明確です。総理は、これは鈴木さんと関係ないという立場ですか。

 首相 私は関係ないとは一言も言っていません。

 佐々木 米海兵隊実弾演習というのは、沖縄で県道一〇四号線越えの実弾演習の本土への移転に関連した大きな問題で、北海道の矢臼別演習場に移転をした、それに関連をした事業です。

 問題は、鈴木宗男官房副長官に言われていちいち説明に行っただけではない。鈴木さんは地元の業者に仕事を受注させたうえで、その業者から献金を受け取っています。宮野秘書は「業者は知っている業者だ」と答えるのは、防衛庁の予算で仕事をした業者から献金を受けているということをよく知っているから、そういう答えをしているのではないか。

 この点について、防衛庁長官、国民の税金がこういう形で鈴木宗男さんに還流する、同じような構図がここでも起こっているわけです。

 防衛庁長官 個別の物品の納入とか、そういう細々したところを議員に説明するということは通常ないことで、好ましいことではないと思う。

 このあと佐々木氏は、鈴木宗男議員にかかわる疑惑は外務省にとどまらず、国土交通省、防衛庁、防衛施設庁へと大きく広がり、全省庁が汚染されている可能性すらあることを指摘、「政府全体の問題だ」として、全省庁の調査を首相自身の責任でおこなうよう強く求めました。

 


もどる

機能しない場合は、ブラウザの「戻る」ボタンを利用してください。


著作権:日本共産党中央委員会 
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 Mail:info@jcp.or.jp