2002年3月1日(金)「しんぶん赤旗」
日銀は二十八日、「量的金融緩和」の追加策を決定しました。その中心は、市中に出回っている国債を日銀が買い入れ、再び市中に出ないように日銀内に“塩漬け”にする国債買い切りオペ(公開市場操作)。これまでの月八千億円から二千億円上乗せして一兆円にすることを決めました。
日銀は国債を買い切る代わりに、その対価としてなんら価値の裏付けのない通貨を供給します。それによって、国民の使う日銀券(お札)の価値が減少することになります。これは、インフレ政策です。
日本の通貨の流通量からみてわずかな額だし、いまは物価が下落しているのだから、たいしたことはないといった指摘があるかもしれません。
しかし、これは事態を軽視するか、意図的にその危険性を無視した議論です。なぜなら、「量的金融緩和」による買い切りオペの増額で、日銀が保有する長期国債は今年一月末には五十兆円近くなっており、今後月を追ってその額がふくらんでいくからです。
日銀が昨年三月に「量的緩和」に踏み出して以降の買い切りオペの積み増し状況をみれば、なんの歯止めもけじめもないことがわかります。実際、小泉内閣発足の同四月に月四千億円だった買い切りオペ額が、わずか十カ月で二・五倍にはね上がったことになります。
まるで、“効き目が足りない”といって麻薬の量をこれでもか、これでもかと増やすような空恐ろしさを感じさせるやり方です。
国債買い切りオペは、悪性インフレを招くということで、財政法五条で禁じられている「日銀の国債引き受け」と事実上同じもの。インフレ政策によって、物価上昇率をいまのマイナスから2―3%に引き上げようといった発想が横行するなかで、歯止めなき国債買い切りオペなど「量的緩和」を拡大することは極めて危険です。
日本経済と国民のくらしを苦しめているのは、小泉「構造改革」のもとで、国民の所得と消費が減少し、生産も低下するという悪循環です。この悪循環を断ち切るためには、国民のくらしを温め、ささえていく政治に抜本的に切り替えていくことです。(三浦照夫記者)
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