日本共産党

2002年2月24日(日)「しんぶん赤旗」

リストラ 撤退やめよ

大企業 それは背信行為です

広がる地域経済守る運動


 小泉内閣発足後の九カ月間に、失業率は4・8%から5・6%へと悪化をつづけ、昨年の倒産件数は戦後二番目を記録しました。大企業の横暴なリストラ計画に、住民とともに、地域経済を守れ、雇用を守るルールをつくれ、大企業は社会的責任を果たせ、と日本共産党は地方議員団を先頭に立ち上がっています。


仙台

モトローラが海外移転

突然の発表に「生活どうなる」

 世界七カ国に二十事業所をもち、十二万人余を雇用している、半導体通信機大手の米モトローラ社。

 その日本法人「モトローラ」(本社・東京)は一月十一日、仙台市の泉パークタウン・工業流通団地内の仙台事業所を二〇〇二年末までに閉鎖して、海外に移転することを突然、発表しました。

 これは、同社の二百三十人の従業員の全員解雇と、隣接の子会社東北セミコンダクタの労働者千五百人中、三百三十人を〇三年三月までに解雇するというものです。

 モトローラの仙台進出にあたっては、県や仙台市が推進してきた北部中核テクノポリス計画の中核企業として優遇。県はこの間、同社に二億二千万円の補助(企業誘致奨励補助金)をおこない、また、仙台市は毎年両企業に固定資産税を減免し、今年度は七千六百万円、総額ではモトローラ社に五億七千五百万円、東北セミコンダクタに三十五億円という膨大なものとなっています。

 日本共産党宮城県委員会と県議団、仙台市議団は一月十五日には県と仙台市にたいし、二月五日には両社にたいして、自治体と住民にたいする背信行為であり、地域経済に与える影響が甚大であること、さらには最高裁判例にも反することなどを指摘し、強行する場合には、補助金などの全額返還と抜本的雇用対策を主張しました。仙台市の加藤義雄助役は、席上「誘致企業が一方的に撤退することは、釈然としない。市民、県民に大きな影響を与える問題だ」とのべました。

 若い労働者らは「会社から十分な説明がない。私たちの生活はどうなるのか」と、会社の一方的な工場閉鎖通告に、怒りの声をあげています。

 自由法曹団や県労連などは、対策本部を設置。労働組合のない従業員にたいし、門前でビラ配布をしています。

 三月議会では、地域経済を守る立場から、事業縮小・撤退では、県との協議・合意などを義務づけるよう要求していくつもりです。

(横田有史県議)


岩手・玉山村

アルプス電気配転発表

村の助成で利益増やしたのに

 電子機器部品メーカーのアルプス電気(本社・東京)は一月八日、岩手県玉山村の盛岡工場(従業員五百七十人)を三月末で操業を停止し、五月の連休までに閉鎖、全員を福島工場(四百九十人)と新潟工場(八十人)に配転すると発表。二月十八日に、労使協議の結果、閉鎖を決定したと再発表しました。これを受けて二十一日、工藤久徳・玉山村長は上京し、同社の閉鎖再考を要請しました。

 同社は、誘致のさい、同村から固定資産税の三年間免除などの優遇をえています。昨年九月中期連結決算によると、約千三百億円の内部留保金をもち、ここ三年間で八十五億円ふやしています。

 工場閉鎖の知らせを聞いた従業員からは「住宅を購入したばかり」「共働きで大変だ。どれだけの人が配転に応じられるのか」「受験期や入学・入所時期に重なり、非常に困る」などと会社への怒りや、村民からも「従業員向けのアパートを建てたがどうなるのか」との非難の声があがっています。

 地元の岩手日報は特集「消える生産拠点――しわ寄せは地方に」で、「衝撃にゆれる地元 企業の撤退が相次ぐ中、厳しい現実が新年の県内経済を揺るがした」と報道。

 日本共産党は、当初から斉藤信県議や佐久間敏子県議候補、高橋和夫玉山村議らが工藤村長を訪問し、「企業には雇用と暮らし、地域経済を守る社会的責任がある。工場閉鎖撤回の運動を」と激励。村長は、「数百人の技術者の流出は、村にとっても県にとっても、重大な損失。村としては、あくまで存続をもとめていく」と応じています。増田寛也知事や関係市町村長にも同様の申し入れをし、アルプス電気盛岡工場には、閉鎖撤回を要請しました。

 いわて労連(村上和雄議長)も同様な申し入れ活動をしています。

 斉藤県議、高橋村議は、労働者や住民の要望をもとに、三月議会でこの問題を取り上げることにしています。

(佐久間敏子県国会議員団事務所長、県議候補)


長野・佐久

富士通の全員解雇通告に

高見沢電機の労働者が職場守る

 「富士通とたたかい続けて。職場、雇用、生活を三年守っていること自体が確信」。全日本金属情報機器労組(JMIU)高見沢電機支部の石井統委員長が語ります。

 家電製品に広く使われているリレーの開発・製造・販売で世界的な高見沢電機。親会社の富士通は一九九九年三月、信州工場(長野県佐久市)閉鎖・全員解雇、再就職を迫りました。

 九十七人の組合員(一人は組合専従)が信州工場に残り、富士通のもくろみを阻止しました。これに富士通は〇一年十月、持ち株会社・富士通コンポーネントを設立。高見沢の開発・販売部門などを取り上げ、本社と信州工場だけの高見沢をつぶそうと狙っています。

 たたかう力の源泉は、労組と支援共闘会議が共同し、それぞれが力と工夫を尽くすことでした。いま、「富士通・富士通コンポーネント・高見沢は共同使用者として、雇用、労働条件、生活を守る責任を果たせ」とたたかっています。

 労組はことし一月、地方労働委員会へ団体交渉を求めて三件目の申し立て。共闘会議も富士通を社会的に包囲しようと、富士通労働者に共同を呼びかけ、全国で支援行動を強めています。

 政党では日本共産党だけが支援共闘会議に参加。組合内の党員が頑張っています。議員も工場閉鎖は地域経済に大きな影響があると、佐久市議会などに労組が提出した請願・陳情(九九年六月)の提案者になり、県議会でも取り上げました。

 木島日出夫衆院議員は〇一年十一月、衆院厚生労働委員会で、会社分割法と持ち株会社制度を悪用した富士通のリストラと追及しました。

 正月に新調した四十四枚の赤旗がはためく信州工場の組合事務所で石井委員長は語ります。「自分たちがたたかう力を持っていること、ともにたたかう仲間がいることはすばらしい。共産党さんには励まされていますよ」

 三月一、二日には支援団体と協力し、約三万枚のビラを佐久市などの全戸に配布する計画です。

(長野県 原広美記者)

 


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